イブ
グランプリにレジェンドあり。
中央競馬の23年総決算「第68回
有馬記念」は24日、中山競馬場で行われ、2番人気
ドウデュース(牡4=友道)が、昨年のダービー以来となるG13勝目。鞍上の
武豊(54)は
有馬記念トップタイの4勝目。イブ開催の
グランプリは06、17年に続いて3連勝となった。自らが持つ
JRA・G1の最年長V記録も更新した。
このシナリオを描ける人がいたのだろうか。「
ドウデュースも私も帰ってきました!」。殊勲の人馬を「ユタカ・コール」で称えた場内5万3000人の観衆に、
武豊は高らかに応えた。ケガに苦しみながら
キズナで制して復活した13年ダービーを重ね合わせた。
中団待機から3角で一気に進出。さあ、行くぞの合図に、場内のボルテージは最高潮に。大逃げ
タイトルホルダーをかわし、
スターズオンアースとの叩き合いを半馬身しのいでV。池添に並ぶ
有馬記念4勝目。06年
ディープインパクト、17年
キタサンブラックに続くイブ有馬3連勝。千両役者の真骨頂にファンは酔いしれた。
10月29日の東京5R後、脱鞍の際に馬に蹴られ、右太腿の筋挫傷を負った。当日の
天皇賞・秋は乗り替わり。
ジャパンCの騎乗も見送った。思った以上に治療が長引き、先週16日、48日ぶりに実戦復帰。「普通なら乗れるかどうか分からない状態。他のジョッキーを確保したりということもあるけど、最後まで“乗れるなら乗ってくれ”という姿勢が凄くうれしかった。後押しになりました。僕自身もいい状態でしたし、間に合ったと思いました」。周囲の励ましと期待が前へと突き動かした。足の痛みが残っており、この日の騎乗は
ドウデュースのみ。一戦必勝。復帰後初勝利がG1というのも
武豊らしい。友道師も「さすが
武豊だなと思いました」と感服だ。
54歳9カ月10日での
JRA・G1勝利は、4月の
大阪杯(
ジャックドール)で達成した騎手の最年長勝利記録を更新。
武豊は「いつもうれしいですけど、今回は格別ですね。いろいろな思いがあってレースに挑んだので、とても大きな一勝です。忘れられないレースになると思います」。喜びをかみしめながらファンへ「やっぱり競馬はいいなと思います。
メリークリスマス!」と呼びかけると、再び感謝のユタカ・コールが湧き起こった。レジェンドここにあり。
武豊の時代は、まだまだ続いていく。
スポニチ