レース史上初めて3世代のダービー馬が激突した
グランプリ「第68回
有馬記念」は、4歳
ドウデュースが鮮やかな復活V。昨年ダービー以来574日ぶりのG1勝利を飾った。管理する
友道康夫師(60)は11度目の挑戦で
有馬記念初制覇。関東馬優勢が続いた今秋のG1戦線だったが、暮れの大一番では関西馬が一矢報いた。
逆襲の
ドウデュース。
皐月賞で敗れても、
凱旋門賞で泥にまみれても、よみがえったダービー馬。たとえ、ドバイで出走取消の苦渋を味わおうと、宿敵
イクイノックスに連敗しようとも、心の灯は消えていないはず――。そんなファンの思いが詰まった単勝2番人気。大外から先行勢をのみこむように直線を向いた
ドウデュースと
武豊を5万人超の大歓声が出迎えた。
スタートと同時に13番手まで位置を下げる。「
武豊が乗れば、
ドウデュースは気持ち良く走る」(友道師)。人馬の呼吸に乱れはない。向正面で8番手まで浮上。先行馬に取り付いた4角は
イクイノックスを封じたダービーをほうふつさせる加速だ。
武豊の右ムチが飛ぶ。506キロの巨体が弾む。「何とか差してくれ!!」。友道師が声を上げる。残り200メートル、
スターズオンアースをかわす。残り100メートル、中山名物の急坂で逃げ粘る
タイトルホルダーを測ったように捉えた。
オグリキャップ、
トウカイテイオーが奇跡の復活Vを遂げた舞台で輝きを取り戻した。
今年2月までラ
イバルとして対戦し、来春の厩舎開業を控える
福永祐一師は現地で観戦。「さすが千両役者。秋3戦目でこの仕上がりを実現した友道厩舎も凄い」と陣営に感服。「ダービーと
有馬記念を勝つ馬なんてそういない。人も、馬もあっぱれだよ」と称えた。ともに国内のホースマンの夢となる大舞台だが、求められる適性がまるで違う。両レースを制したのは史上9頭目。友道師も「距離を不安視する声もあったが払拭してくれた」と名馬の蹄跡をたどった愛馬の激走に感慨深げだった。
晩成の
ハーツクライ産駒。本格化を迎えるであろう来年について、指揮官は「オーナーが“忘れたものを取りにいこう”と。おそらくフランスのこと(笑い)」と
凱旋門賞への再挑戦に意欲を見せる。松島正昭オーナー(キー
ファーズ代表)は「ここまで山あり谷あり。本当に勝てて良かった。来春はドバイへリベンジに」とまずは今春、幻となったドバイ再挑戦を目標に掲げた。
天才
イクイノックスが去ったターフを盛り上げるのは、やはり同期のダービー馬。彼ならきっと、日本競馬界の悲願だって…。6年ぶりのイブ決戦。ファンの心にはとびっきりの夢が届いた。
ドウデュース 父ハーツクライ 母ダストアンドダイヤモンズ(母の父ヴィンディケーション)19年5月7日生まれ 牡4歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・キー
ファーズ 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績12戦6勝(うち海外2戦0勝、重賞4勝目) 総獲得賞金10億2844万9400円(うち海外118万6400円) 馬名の由来は〜する+テニス用語(勝利目前の意味)。
スポニチ