「
有馬記念・G1」(24日、中山)
G1馬8頭が集結した23年のドリームレースを制したのは、2番人気の
ドウデュース。大ケガを乗り越えた
武豊に導かれ、22年のダービー馬が復活のG13勝目を挙げた。鞍上はこれが20、30、40、50代の
グランプリVで、レース史上最多タイの4勝目。54歳9カ月10日で自身の記録(54歳19日)を更新する最年長G1制覇となった。2着は7番人気
スターズオンアース、3着は6番人気の
タイトルホルダーだった。
暮れの中山、一年最後の
グランプリ。分厚い灰色の雲が覆う寒空の下、完全復活を遂げた人馬の鮮やかなVはやはり絵になる。「
ドウデュースも私も、帰ってきました」。
武豊の呼び掛けに、呼応するように巻き起こる拍手と歓声。「やっぱり競馬は素晴らしいですね。
メリークリスマス!」。スタンドから沸き起こる“
ユタカコール”に、イブの
有馬記念3勝目となった名手は、もろ手を挙げて応えた。
大歓声の中でのスタートは、行き脚がつかず最後方から。ただ、そこは百戦錬磨。道中は焦らず、行きたがるのをなだめて後方待機に徹した。動いたのは2周目の3角過ぎ。去年のダービーと同じ「しびれるような手応え」で進出を開始すると、直線入り口でスパート。「描いた通りのレースプラン。4角の勢いがすごくて、あとは何とかしのいでくれと」。
タイトルホルダーを早めにパスすると、食い下がる同期の
スターズオンアースに先頭を譲らず押し切った。
人馬とも期するものがあった。鞍上は10月29日の東京で右太ももを蹴られて負傷。筋挫傷の大ケガを負い、
天皇賞・秋、
ジャパンCはコンビを組めず、テレビで見守ることしかできなかった。「フランスやドバイもそうだけど、ダービーの後は悔しい思いをしてきた。この馬はこんなものじゃないと」-。かねて語ってきた「現役馬で僕にとって最強のパートナー」の意味を大一番で改めて示した。
先週から復帰している鞍上だが、療養中は状態が上がらずに焦りもあった。「
ドウデュースの存在は大きかった。普通なら陣営も不安になって他のジョッキーを確保したりするけど、『乗れるなら乗ってくれ』って。そういう姿勢がすごくうれしかった」。感謝の思いも胸に手にしたJRA・G1通算81勝目に、「きょうは格別」と喜びをかみしめた。
陣営はレース後に早々と24年の
凱旋門賞再挑戦を表明。主戦も「世界レベルの馬。フランスでもドバイでも悔しい思いをしたし、『来年こそは』と思っている」とうなずくが、まだ名手には、23年最後の大仕事が残っている。
センチュリボンドに騎乗する
ホープフルSで狙うはJRA・G1完全制覇。23年の競馬は最後の最後までこの男が盛り上げていく。
提供:デイリースポーツ