◆第68回
有馬記念・G1(12月24日、中山競馬場、芝2500メートル、良)
第68回
有馬記念・G1(24日、中山)は単勝2番人気の
ドウデュースが復活の勝利を挙げた。鞍上の
武豊騎手(54)=栗東・フリー=は右太ももの負傷で約1か月半騎乗できず、今回は3戦ぶりのコンビだったが、21世紀以降は負けなしのイブ決戦で鮮やかに昨年のダービー馬を復活へ導いた。衰え知らずのレジェンドが
グランプリで千両役者ぶりを見せつけた。
役者が違った。「
メリークリスマス!」。
武豊と
ドウデュースが6年ぶりのイブ決戦で完全復活した。16日に約1か月半ぶりに戦列復帰後、初めて味わう勝利の歓喜。21世紀の12月24日に行われた
有馬記念で3戦3勝、史上最年長G1勝利、
宝塚記念と合わせると史上最多の
グランプリ8勝目など記録ずくめの走りだった。ファンから飛び交う「ユタカ、お帰り〜」の声、声、声…。興奮冷めやらぬ場内は5万3453人の大きな
ユタカコールに包まれた。
「
ドウデュースも私も帰ってきました。間に合うかどうか分からなかったけど、多くの人々の協力があって間に合った。やっぱり競馬っていいなと思います」とレジェンドは笑顔で感謝を伝えた。この日の騎乗は1鞍のみ。一走入魂でつかみとった勝利に松島オーナと抱き合って喜びを爆発させた。
強いダービー馬が戻ってきた。発馬で後手になり、後方からの競馬。前向きすぎる気性を我慢させ、道中で
パワーをためながら動いたのは3コーナーだ。
タイトルホルダーめがけて外から上がっていくと、しびれんばかりの手応えで直線入り口では早くも前を射程圏に入れた。ラストはメンバー最速の破壊力で
スターズオンアースとの叩き合いを半馬身差で制し、「思い描いた通りのレースができた」と満足げだ。
大きな壁を乗り越えた。
武豊は
天皇賞・秋当日に検量室前で騎乗馬に蹴られ右太ももを負傷。診断は「筋挫傷」だったが、右足全体が腫れ上がった。「医者がびっくりするぐらい」で3回も血を抜くほどの重傷。調教でさえ、1か月以上も馬に乗れない、つらい日々が続いた。その支えになっていたのが
ドウデュースだ。「今日は格別。いろんな思いがあって挑んだレース。とても大きな一勝、忘れられないレースになった」
来年は今まで苦い経験を味わったドバイや
凱旋門賞への再挑戦が視野に入っている。
武豊は引き揚げてきた検量室前で「よし、来年もう一回行こう、フランスに行こう」を声を弾ませた。競馬界の至宝は最強パートナーと、リベンジのために再び世界へ向かう。(松末 守司)
◆
ドウデュース 父ハーツクライ、
母ダストアンドダイヤモンズ(父ヴィンディケーション)。栗東・
友道康夫厩舎所属の牡4歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算12戦6勝(うち海外2戦0勝)。総獲得賞金10億2844万9400円(うち海外118万6400円)。主な勝ち鞍は
朝日杯FS・G1(21年)、
日本ダービー・G1(22年)、
京都記念・G2(23年)。馬主は(株)キー
ファーズ。
スポーツ報知