2歳マイルGIは阪神JF=
アスコリピチェーノ、
朝日杯FS=
ジャンタルマンタルがともに無傷のV3。もはや来春の主役は決まり? いやいや、現時点ではあくまで“頭ひとつ”抜けただけの「暫定王者」に過ぎないのは、もうひとつの2歳GI
ホープフルS(28日=中山芝内2000メートル)が残っているのはもちろん、「伝説の新馬戦」を軸にした戦力図がいまだ不透明なことが大きく影響している。
ボンドガールが制した6月4日、東京芝1600メートル新馬戦(牝)は、敗戦組からもその後に
アルテミスSを制する
チェルヴィニア(2着)、
京王杯2歳S勝ち&阪神JF3着の
コラソンビート(3着)をはじめ、続々と活躍馬が出ているハイレベルな一戦なのだが…。一方で肝心の
ボンドガール、
チェルヴィニアが阪神JFに出走できなかっただけでなく、
サウジアラビアRCで2着
ボンドガールとクビ差の3着だった
シュトラウスは東京スポーツ杯2歳Sを制しながらも、続く
朝日杯FSでまさかの10着惨敗…。伝説の新馬戦の“伝説”の深みがどの程度なのかが、ベールに包まれたまま年を越してしまいそうなムードも漂い始めているのだ。
その観点でいけば、
サウジアラビアRCで
ボンドガール&
シュトラウスをまとめてのみこんだ
ゴンバデカーブースの
ホープフルSでの結果が大きな「肝」となるだろう。
サウジアラビアRCは逃げ切りを決めた初戦とは一転、4角では最後方。それでも次位に0秒6差をつける圧倒的な最速上がりで悠々と2馬身突き抜けてみせた。しかも堀調教師が振り返るには「夏場にじっくりと休ませて成長を促したのですが、体が増えておらず、毛ヅヤなど健康状態もひと息でした。猛暑の中でのルーティンワークが負担になっていたようです」。要は万全の体調ではない中で、あの勝ちっぷりだったのだから恐れ入る。
「(メンタル面での)起伏が激しく安定しているわけではありません。追い切りでもシャープさが出ていなかったので…」とこの中間も万事スムーズというわけではなかったようだが、1週前追い切りにムーアを騎乗させて刺激を与え、その助言を受けて臨んだ最終追い切りでは上々の動きを披露。少なくとも前走以上の仕上がりで臨めることは間違いない。
「
サウジアラビアRCは思ったより後ろになりましたが、強い内容で勝ってくれました。ただ、いいところに出せたりと、うまくいったところもありますからね。今回は器用さも求められる中山の2000メートルになりますが、距離自体は問題ないし、何より能力は間違いないですから。僕がしっかりと力を出してあげられさえすれば」とは前走に続き手綱を取る松山。
両2歳マイルGIに続き
ゴンバデカーブースが無傷3連勝で2歳中距離GIを制することになるのか!? 来春の勢力図を描くうえで最大のカギとなるであろう「伝説の新馬戦」の真価を間接的に問うことになる、その走りに大いに注目したい。
(美浦の両刀野郎・山口心平)
東京スポーツ