2019年の
ホープフルSの覇者
コントレイルといえば、ご存じ後にクラシック三冠を達成。そんな名馬を育て上げた矢作厩舎が23年を締めくくるGIに
シンエンペラー、
ミスタージーティーの2頭をスタンバイさせているとなれば、足が自然に厩舎へと向いてしまう。最初に接触できたのは
ミスタージーティーを担当する久保助手だった。
「4角ではモタモタしていて“どうかな”と思ったけど、差し切ってくれたんだよね」と振り返ったデビュー戦は、直線での巧みな進路取りと最後は鞍上の叱咤に応えた勝負根性が際立っていたレースだった。
デビュー2戦目での大舞台に向けても「操作性が高いし、切れる脚もある。本当に乗りやすい馬なんだ。1回使ったことでギアも上がっているからね」と前向きな言葉を続ける久保助手だったが、最後にポツリとつぶやいたのが「最大の敵は身内にいるから…」。
立ちはだかる存在として一目置かれていたのは、やはり僚馬
シンエンペラーだった。京都2歳Sで無傷の連勝を決めた素質馬は、
凱旋門賞馬
ソットサスを全兄に持ち、オーナーは「ウマ娘」で知られる藤田晋氏と話題性にも事欠かない。
注目度の高さでは出走メンバー中1、2を争う
シンエンペラーを担当する吉田助手は「総合力が高い。
チャートグラフで表すと、どこか一つが飛び抜けているわけでも、逆にどこか一つが劣っているわけでもない。すべてにおけるスペックが平均して高いって感じかな」と評した。
現時点ではまだ完成度が高いわけではない。だからこそ「デビュー戦と京都2歳Sでは競馬の仕方が全然違ってしまった。そこは2歳馬らしいところですが、見方を変えれば、いろいろな経験ができた。中山の内回りとか、荒れた馬場もこなしてくれると思います」。
そう、平均した
グラフであれば、あらゆる要素に対応できる。あとは完成度が上がるにつれて、
グラフを全体的に大きくするのみだ。
ミスタージーティー、
シンエンペラーの2頭が目指すのはもちろん、偉大な先輩
コントレイル。果たして先にGIタイトル戴冠を果たすのはどちらか。
JRA・GIファイナル(第40回
ホープフルS、28日=中山芝内2000メートル)で繰り広げられる「同門対決」から目が離せそうもない。
(明神 瑠)
東京スポーツ