2023年佐賀競馬の全日程が終了した。最終日の12月24日には大一番・
中島記念が行われ、制したのは
ヒストリーメイカー。
JRA時代には重賞2着が4度あり、22年11月のオープン特別ではのちにドバイワールドCを勝った
ウシュバテソーロの2着だった。
これだけの実績と、年齢を重ねても衰え知らずの走りを維持した状態で佐賀にやってきたとあって、周囲の期待は大。それに応え、移籍初戦は姫路に遠征して白鷺賞を制したが、その後の走りがこの馬らしくなかった。地元・佐賀では重賞を勝てず、
手島勝利調教師は「なぜ佐賀では走らないのか……」と悩み続けていた。
そこで、陣営は
中島記念でブリンカーを着用。さらに「調教師と『思い切ったレースをしよう』と話していました」と
山口勲騎手は話す。その言葉通り、ペースが落ち着いた1周目スタンド前で一気に捲ってハナに立つと、向正面ではリードを4馬身以上広げてそのまま押し切って勝利。悲願の地元重賞初制覇となった。
また、2回目の騎乗となった山口騎手にとっても、大レースの勝利は感慨深いものとなった。というのも、23年は夏に馬場入場の際に右足の甲を骨折。戦線離脱せざるを得ず、08年から15年連続で守り続けた佐賀リーディングの座を後輩に明け渡すこととなったのだ。
それでも、幾度の大怪我を乗り越えてきた53歳は
中島記念の勝利騎手インタビューで「こうやってこの場に戻ってこられたので、また応援してください」と声を震わせ、来年の飛躍を誓った。
その山口騎手を抑え、初のリーディングに輝いたのは
飛田愛斗騎手。20年10月にデビューしたばかりの21歳ながら、史上最速で通算100勝を達成、21年ヤングジョッキーズシリーズ総合優勝など「
スーパーゴールデンルーキー」と呼ばれた若手は、いよいよ名実ともにトップジョッキーへと上り詰めた。
調教師部門では
山田徹調教師が2年連続リーディングに輝いた。22年
中島記念を勝った
リュウノシンゲンなどを手がけるほか、所属で子息の
山田義貴騎手はデビュー2年目で佐賀リーディング3位。その活躍をサポートした。
ゆく年くる年。年末年始はスターホースたちの引退もある。佐賀生え抜きで、8月の九州
チャンピオンシップで久しぶりの重賞制覇を果たした
ミスカゴシマは今月、デビュー時から長く手綱をとった
石川慎将騎手を背に引退レースを迎える予定。
一方で、根岸Sなど重賞5勝を挙げる
テイエムサウスダンが移籍してきた。「ゆっくり体調を整えて、移籍初戦は早くて2月後半かな。3月の
黒船賞JpnIII(高知)を目指したいです」と
平山宏秀調教師。佐賀短距離界に新たな風を吹かせるだろう。
今年の佐賀競馬は1月6日の新設重賞・佐賀
若駒賞から重賞戦線がスタート。佐賀デビュー馬限定の3歳戦だ。8日には
インペリシャブル(川崎)、
ダノンジャスティス(高知)が出走予定のゴールドス
プリント、21日には3歳牝馬による
花吹雪賞が行われる。
そして目玉は2月12日
佐賀記念JpnIII。昨年は
バーデンヴァイラーと騎手引退を控えた
福永祐一騎手(当時)が制した一戦だ。さらに22日は3歳の九州産馬限定の
たんぽぽ賞が行われる。
JRA調教師の中には「この九州産馬で
たんぽぽ賞を狙いたいんや」と2歳デビュー時から目標に置く人もいる。11月に
佐賀競馬場で初めてJBCが開催される日には、地方全国交流で九州産限定の重賞が組まれる予定にもなっており、こちらも注目だ。
(文・大恵陽子)
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