ドバイターフやサウジCなどを優勝し、18億円を超える賞金を獲得した
パンサラッサ(牡7歳・栗東・矢作 芳人厩舎)の引退式が8日、中山競馬場で行われた。
パンサラッサは父
ロードカナロア、
母ミスペンバリー、
その父モンジューという血統で、19年にデビュー。21年の
福島記念を前半57秒3の逃げで圧勝し、重賞初制覇を飾った。翌22年には
中山記念を制して
ドバイターフへ。
ロードノースとの同着という形でGI初制覇を果たした。同秋の天皇賞では後の"世界最強馬"
イクイノックスに敗れはしたものの、大逃げを打って2着に入った。
23年はサウジCでひさびさにダート挑戦。見事逃げ切り勝ちを決めて日本馬初の同競走制覇を果たした。その後は
ドバイターフ連覇ではなくドバイワールドCに臨むも10着。同年秋の
ジャパンC(12着)がラストランとなった。今後は北海道日高郡新ひだか町の
アロースタッドにて種牡馬となる。関係者のコメントは以下の通り。
■広尾レース株式会社代表取締役 中尾公亮氏のコメント
「本日は
パンサラッサの引退式にお越しいただき、誠にありがとうございました。
JRA様のご厚意で、このような素晴らしいセレモニーを開催させていただくことが出来ましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。また、ここに至るまで、矢作先生筆頭に
パンサラッサに関わってくださいました皆さま、会員の皆さま、沢山のファンの皆さまに感謝申し上げます。
そして、
パンサラッサ、ただただ感謝しかありません。競走馬としては引退しますが、まだ彼のストーリーは続きます。日本で、世界で
パンサラッサの子供たちが競馬を盛り上げてくれること、夢の続きとして変わらぬご声援をよろしくお願いいたします」
■
矢作芳人調教師のコメント
「まずはじめに、この度の能登半島地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興、復旧を願って止みません。また、この寒い中遅くまで残ってくださったファンのみんな、ありがとう! そしてこのような盛大な引退式を挙行してくださった
JRA、その他関係者の皆様、本当に感謝しています。ありがとうございます。
リスグラシュー、
コントレイル、
ラヴズオンリーユー、そしてこの
パンサラッサで、引退式は4頭目になります。本当に馬にも人にも恵まれた調教師だな、と実感しています。
パンサラッサは、ほかの3頭より国内での実績は少し劣るかもしれませんが、本当に記憶に残る、心に刻まれる走りをしてくれた馬だな、と思っています。去年の今頃、
パンサラッサの
サウジカップ挑戦を決めたときは、いろんな雑音が外野から聞こえてきました。無謀だとか、ダートなのに何考えてるんだとか、いろいろ言われました。
マルシュロレーヌのときも言われたのですが、それよりも酷かったです。しかし、その自分の考えを強烈に後押ししてくれた、オーナーの広尾さん、本当に感謝しています。そして、その難しいミッションを見事に成し遂げてくれた
パンサラッサ、
吉田豊騎手、そしてうちのスタッフ、本当に心から感謝しています。
大谷翔平君が、プロ野球でも、メジャーリーグでも二刀流をすると言ったときに、多くの人が反対しました。多くの批判を受けました。でも彼は成し遂げた。矢作厩舎も、
パンサラッサの走りを胸に、これからも挑戦し続けます。応援よろしくお願いいたします。
パンサラッサには苦労させられましたが、僕も逃げ馬は好きなので、ファンの皆様が大逃げするたびに喜んでいただけるのが、僕も競馬ファンの気持ちと同じように嬉しかったです。
彼は
コントレイルと同期だったので、横に天才がいたものですから、なかなか比較されるのは難しかったです。
パンサラッサというのは人間でいえば本当に努力家の馬で、サラブレッドの場合はなかなか努力だけでは素質には敵わないのですが、それを克服したのが
パンサラッサだったかなと思っています。
パンサラッサの子供たちには、やはり
イクイノックスの子供を負かしてほしいと思っています」
■
吉田豊騎手のコメント
「海外で大きいところを2つ勝たせてもらって嬉しく思いますが、一番思い出に残っているのは天皇賞で負けたときの悔しい思いです。僕も長く乗っていて、正直海外など大きいレースで、
パンサラッサに緊張する機会を与えてもらって本当にありがたいなと思っております。
パンサラッサには本当にお疲れさまという一言ですし、またこれから第2の人生があるので、本当に子供にも期待しています。また、
パンサラッサの子供で逃げるような機会があればいいなと思います」
■岡勇策調教助手のコメント
「普段からあのような競馬をするので、皆さんの印象どおりだと思うのですが、普段から元気いっぱいという言葉がぴったり当てはまる馬で、元気いっぱい過ぎて毎日乗るのが嫌だなと思うくらい、元気の良い馬でした。海外G1も2つ勝たせていただきましたし、何より一番賞金の高いレースを勝たせてもらったので本当に嬉しいです。
池田さんが引退した後も、いつもどおりでしたけども、担当が違うのをわかっているのかわかっていないのかわからないくらい、とにかく元気いっぱいの馬でした。海外に行かせてもらってたくさん良い経験をさせていただいたので、『ありがとう』という言葉を一番伝えたいです」
■池田康宏元厩務員のコメント
「今日も
パンサラッサらしく僕も危険を感じるくらいの元気良さで、ひと安心です。自分のことで大変恐縮なのですが、私の定年退職前の4歳の秋から覚醒して急に強くなって、僕もG1制覇を諦めていたのですが、最後の最後にG1制覇を成し遂げてくれて、この馬からは諦めないということを教わりました。本当にお礼が言いたいです」
■生産者 木村秀則氏のコメント
「日高というのは僕のような中小零細の牧場がほとんどです。そういう人たちから、『感動をありがとう』、『勇気をもらった』という言葉をレースごとにもらいました。また、『小っちゃい牧場でも、世界に挑戦できる馬を出せるんだというのを証明してくれたんだよ』ということも言ってもらい、そんな希望を、僕だけではなくて日高という生産のみんなにくれた馬でした。
繰り返しになるのですが、
パンサラッサには『希望をありがとう、また子供たちで僕たちに希望をください』と言ってあげたいです。また、日高の希望の星になるような馬を出してほしいと思っています」
(
JRAのホームページより)