【競馬人生劇場・平松さとし】9日、2023年度の
JRA賞が発表された。全295票中293票を獲得して
年度代表馬の座に輝いた
イクイノックスなど、圧倒的な票を集めた馬もいる中、
レモンポップと
ウシュバテソーロが争った最優秀ダート馬など、票が割れた部門もあった。
中でも最も接戦となったのが、
最優秀2歳牝馬部門。例年なら
阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)の勝ち馬で半ば
オートマチックに決定するが、今年は牝馬の
レガレイラが牡馬を相手に
ホープフルS(G1)を快勝。そのため阪神JFの覇者
アスコリピチェーノとの票取り合戦となった。最終的には例年通り阪神JFの覇者が選定されたが、その差はわずかに31票。163対132という僅差の勝負になった。
「光栄です」
受賞を耳にして、
アスコリピチェーノを管理する
黒岩陽一調教師はそう言った。
このように
JRA賞争いでは僅差の辛勝になったが、実際のレースでは「自信がありました」と同師は語る。
「
新潟2歳S(G3、1着)以来の競馬だったけど、約3週間前には栗東トレセンへ移動させ、そこでもカイバを食べていたし、調教の動きも良いモノでした。だから結構、自信を持って臨めました」
レース直前には、さらにその自信を後押ししてくれることがあった。一緒に装鞍をした
北村宏司騎手の口からも、自信を感じさせる言葉が漏れたというのだ。
「北村騎手は良く言えば慎重で、聞き方次第では消極的に思える面があります。でも、そんな彼が自信を持っている感じだったので、これなら任せて大丈夫だと確信できました」
結果、その見立て通り勝利できたことで、
JRA賞の受賞にもつながった。
さて、久しぶりのG1制覇を飾った北村宏騎手は、この年頭も早々に勝利。好発を決めたかと思えた矢先、落馬。鎖骨骨折でしばらく戦列を離れることになってしまった。不幸中の幸いで、
アスコリピチェーノの
桜花賞(G1)には余裕で間に合いそう(黒岩師)とのこと。万全の状態で帰って来て、再び物語の続きが紡がれることを期待したい。 (フリーライター)
スポニチ