「
日経新春杯・G2」(14日、京都)
1番人気の
ブローザホーンが豪快に差し切り、待望の初重賞をゲットした。今春に定年で引退する中野栄治調教師(70)にとっては、19年
函館スプリントS(
カイザーメランジェ)以来5年ぶりとなる重賞8勝目だった。昨年10月、前走の
京都大賞典でレース中に心房細動を発症し、競走中止となるアク
シデントに見舞われたが、見事な復活劇でG1戦線の主役に名乗りを上げた。2着は4番人気
サヴォーナ、3着は3番人気
サトノグランツだった。
引退間際の中野栄治調教師にささげる重賞初制覇だ。後方から運び、坂の下りで勢いを付けて直線へと向いた
ブローザホーンが馬場の真ん中を一文字に伸びて、豪快な差し切りV。自身JRA1番人気での重賞制覇は初となった菅原明は、検量室前で下馬すると「最後の重賞になるかもしれなかったので、勝てて良かった」と、スタッフと抱き合って歓喜をあらわにした。
前走の
京都大賞典では、心房細動を発症して競争中止。さらに出走を予定していた
有馬記念は除外。リズムを崩しつつあったが、同馬を担当する中野師の長男・中野翔助手による懸命なケアがあって、プラス12キロと馬体が回復したのが大きかった。
待望の初タイトルに「この馬のお母さん(
オートクレール)もヴィクトリアM(17年17着)で心房細動になったが、次のレース(
紅葉S)で勝ったのを見ていましたから。おやじのこととかもいろいろあって、すごく感動しました」と中野翔助手は目頭を熱くした。
テレビ観戦した中野師は「
ハーツコンチェルトを目標に自信を持って乗れという指示でした。ペースが速かったけど、動かなかったのが良かった」と菅原明の好騎乗をたたえた上で、「残り2カ月切ったが、大きなところを勝つべき馬が勝ってうれしいね」と19年の
函館スプリントS(
カイザーメランジェ)以来の重賞Vを喜んだ。
3月の第1週で定年。もう一度使う機会もありそうだが、「今後はオーナーとの相談だが、G1でも楽しみがある馬だから」と自身の引退後に大きな勲章を望む中野師。「まだまだ良くなると思いますので、ともに頑張っていきたいです」と意欲を語る菅原明とのコンビで、
ブローザホーンがさらなる高みを目指していく。
提供:デイリースポーツ