25年前のきょう、岩手が大いに沸いた。翌日の地元紙には「快挙! 地方から中央制す」の大見出し。水沢競馬に所属の
メイセイオペラが
フェブラリーSを完勝し、現在まで唯一となる“地方所属馬による
JRA・GI制覇”を達成したのだった。
決して目立つ血統ではない。そして、大きなアク
シデントを乗り越えての勝利でもあった。
父グランドオペラは血統背景こそ抜群(父はニジン
スキー、母はカナダ
年度代表馬)だが未勝利馬で、母の
テラミスは岩手2勝という成績。本馬は3歳秋から翌年にかけて9連勝を飾ったが、4歳秋には馬房で顔面を強打して、一時は競走馬生命さえ危ぶまれる大けがを負ったこともある。だが、不屈の闘志と驚異の回復力で復活、そして成長。5歳になると南関東に遠征を重ね、
アブクマポーロとともに日本のダート競馬をけん引していく。
スタミナ勝負を得意とする
アブクマポーロに対し、
メイセイオペラはマイルのスピード決着がベスト。大井2000mや川崎2000mでは前者に軍配が上がったが、盛岡1600mの
南部杯では
メイセイオペラが圧勝した。この結果を受けて、陣営は
フェブラリーSへの挑戦を決定。もっとも得意とする条件で、
JRAの強豪15頭に挑戦することを選んだ。
1月31日に行われた99年の
フェブラリーS。
桜花賞馬
キョウエイマーチ、重賞4勝馬
ワシントンカラーの強力メンバーが揃ったが、
メイセイオペラは2番人気に支持される。レースでは驚くべきパフォーマンスを披露。ミドルペースの中を5番手から運び、道中は位置取りも手応えも抜群であった。直線はジッと追い出しを我慢する余裕。残り200mほどで一気に仕掛けると、西日に照らされた栗毛の馬体が躍動した。後続に2馬身差の完勝。府中の長い直線を力強く駆け上がる姿は、テレビの前で応援していた岩手の人びと、そして東京競馬場に詰めかけたファンの胸を打った。
今年で偉業から25年となる。16年7月に
メイセイオペラはこの世を去ったが、いまでも彼の走りは決して色褪せることはない。今年の
フェブラリーSにも地方馬が出走を予定しているが、
地方競馬のファンや関係者は、“第二の
メイセイオペラ”の出現を心待ちにしている。