東京競馬場で2月10日(日)に行われる
クイーンカップ(3歳牝・GIII・芝1600m)で、
アルセナール(牝3、美浦・
木村哲也厩舎)が重賞初制覇を狙う。同馬は父
エピファネイア、
母サンブルエミューズ、母の
父ダイワメジャーという血統。97年の
桜花賞馬
キョウエイマーチは曾祖母にあたる。
キョウエイマーチは96年から00年にかけて活躍した。抜群のスタートセンスとダッシュ力を武器にして、短距離から2000mまで重賞5勝。ダートでもトップクラスの実力をもった“二刀流”の馬としても知られ、99年には
フェブラリーSで5着、
南部杯で2着に好走している。
引退後は繁殖入りしたが、07年に急逝したため、残された産駒はわずか4頭。そこから後世まで血が繋がったのは初仔の
ヴィートマルシェだけだったが、枝葉は近年大きな広がりを見せている。産駒の
マルシュロレーヌはダート
グレード競走4勝を挙げ、21年にはアメリカのBCディスタフ(米G1)を制覇する偉業を達成。さらに
バーデンヴァイラーが
佐賀記念、
マーキュリーCを制している。
ヴィートマルシェの2番仔
サンブルエミューズからは、昨年の
マイルCS勝ち馬
ナミュールと、22年の
アルテミスSを制した
ラヴェルが誕生。
キョウエイマーチが届かなかったダートGIや
マイルCSのタイトルを、子孫たちが獲得してみせた。芝やダート、そして世界まで。たった一頭が紡いだ貴重な“血”は、いまや日本競馬の血統表を塗り替えそうな勢いだ。これは奇跡的と言っても過言ではないだろう。
アルセナールも先輩らに続けるか。昨年11月の新馬戦は3コーナー手前から馬なりで進出すると、直線は坂上でするどく伸びて1馬身差の完勝。着差以上の強さを感じ、さすが“良血”を思わせる内容だった。目指すは
キョウエイマーチが咲いた桜の舞台。
クイーンCで初タイトルを獲得して、先へと弾みをつけたい。