スマートフォン版へ

「夢は牝馬GIを実況すること」 ラジオNIKKEI藤原菜々花アナウンサーが描く未来の姿

  • 2024年02月15日(木) 18時30分
 先月、中山競馬場で実況デビューを果たしたラジオNIKKEI藤原菜々花アナウンサー。長い歴史を持つ同局において、女性が競馬実況をするのは史上初のことだった。現在は午前中のレースで経験を積みながら、目標に向かって歩みを進めている。彼女が描いている大きな夢とは。上長の中野雷太アナウンサーとともに、話を伺った。

 中山でのデビュー戦を終えて、3週間後には東京での初実況。しかし、浮かない表情を見せた。「慣れてきたかなと思ったのですが、直線でどう描写したら良いのか、迷子になってしまって……」。開催替わりの難しさを知った。中野アナも「去年秋の東京開催の練習では普通にできていたのですが、まだキャリアが浅いので、コース形態が違う中山での感覚に引っ張られている感じでしたね」と振り返る。

 さらには雨の中での実況も経験。練習では何度もこなしてきたが、いざ本番となると不安がよぎった。「勝負服に泥がついて見えにくくなりますし、服色も全然違って見える。練習のとき、霧で全然見えないことがあって、雨予報が出たときから『今週末、霧が出たらどうしよう』って思っていました。でも、当日は雨も小降りで、ラッキーでした」。中野アナは「散々、練習でやってきたじゃない」と笑顔を浮かべた一方で、「本番で初めてになると、そういうものなのかな」とフォローした。デビューしてまだ一カ月。競馬実況は1レース、1レースで日々、勉強のようだ。

 とはいえ、仕事は実況だけにとどまらない。平日はニュース番組で原稿を読み、自身がパーソナリティを務める番組を収録。週末には競馬番組で実況、進行を担当するなど、藤原アナの仕事は多岐に渡る。トレセンにも2カ月に1回のペースで訪問。騎手や調教師への取材もこなす。

 最初は競馬をほぼ知らない状態で入社し、競馬場のビギナーズセミナーに参加するところから始まった「競馬」との関わり。それがいまは、マルチに活躍を見せている。中野アナも「立派なものですよね。ひとりでトレセンに行って、ちゃんと取材できるまでになったのですから」と成長に改めて目を細めた。

 様々な活躍の中で、印象的なエピソードがあるという。一昨年から務めているジョッキーベイビーズでの一コマだ。中野アナが話す。

「終わったあと、子ども達にインタビューすると、場が和むんですよ。中には悔しくて泣き出しちゃう子もいたり、尻込みしちゃう子もいたりするのですが、彼女がやるとすごくいいムードになるんです。これは彼女の天性のものだと思うし、大事にしてほしいですね」。藤原アナが持つ柔らかい雰囲気は、彼女にしか出せない“武器”だ。それは自身の夢にも繋がっている。

「牝馬のGIを実況したいです」

 競馬実況を続けるうえで、当面の目標は「ラジオ実況から、場内実況へのステップアップ」。しかし、その先には大きな舞台を見据えていた。でもなぜ、多くのアナウンサーが実況したいという、ダービーや有馬記念では無いのだろうか。そこには先ほどの“武器”が関係している。

「私に男性のような迫力は絶対出せないと思っていて。でも、走っているときの爽快感を出すことや、華やかさを伝えることはできるんじゃないかなと」

 競馬に触れ、競馬実況に触れ、自分の長所を考えた中で生まれた夢だった。「自分の強みを生かせるんじゃないかなという想いもあって、女の子たちのGIを担当できたらなって思います」。

 藤原アナの成長していく姿を見て、中野アナも「女性実況者のパイオニアのような存在になって欲しい」と期待を込める。まずは場内実況を目指し、その先は先に見据えているのは、ターフをかける乙女たちの決戦を実況する姿だ。

◆中野 雷太(なかの らいた)
97年に日本短波放送(現・日経ラジオ社)へ入社。これまで数々のGI競走で実況を担当しているほか、JRA賞の司会を務めるなど、活躍は多岐に渡る。学生時代から競馬に興味を持ち、想い出の馬はヒシアマゾン。現在の主な担当番組は『中央競馬実況中継』『うまきんIII』『日経電子版NEWS』など。

◆藤原 菜々花(ふじわら ななか)
20年に日経ラジオ社へ入社。趣味はフィギュアスケート観戦で、自身が企画した番組『こだわりセットリスト・特別編〜羽生結弦選手特集』は世界中で話題となった。今年1月8日に競馬実況デビュー。日曜18:20〜放送中のトーク番組『ななかもしか発見伝!』では、自身がパーソナリティを務めている。

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す