7日に老衰で死んだ
カルストンライトオ(
父ウォーニング)。04年の
スプリンターズSを勝ち、G1馬となった実績ももちろん光るが、02年と04年のアイビスサマーダッシュを制している。記者は“新潟直線1000メートルの申し子”という印象が強い。現役時代に管理していた
大根田裕之調教師も「02年のアイビスサマーダッシュのレコード(53秒7)は、いまだに破られていないからな」と胸を張った。
06年から、アイビスサマーダッシュは夏の新潟開催の開幕週に施行されているが、当時は連続開催の6週目に行われており、今よりも時計が出にくいというなかでの記録だからこそ価値がある。「
JRAには言っといたんや。開幕週にやったらどんなレコードが出るのか、ファンも興味があると思ってな」と大根田師は笑うが、21年の歳月が過ぎても破られていないのは事実だ。
当時のラップを見ると、2ハロン目に9秒8、さらに4ハロン目に最速の“9秒6”が出ている。映像を見れば分かるが、外枠から抜群のスタートを切って、ぐんぐん加速している様子が画面越しに伝わる。さすがに最後の1ハロンは12秒1を要したが、過去23回のレースで9秒台のラップが2回出たのは、02年の1回だけだ。2段階加速で完成したスーパーレコードと言っていい。
「一歩目はそれほど速くないけど、二歩目からの加速がすごい。ゲート練習ではちょっと沈んだ構えから、あっという間に見えなくなった。ホームで通過する特急電車を見ている感じだった」とトレーナーは天性のスピードを表現する。
引退後も師は何度か会いに行ったそうで「以前は豊郷(北海道沙流郡日高町)にいたんだけど、海岸の道路沿いから放牧されているのが見えてね。牧場巡りのときに、にんじんをあげたこともあった。遠くからでも派手だから分かるんだよね」と目を細めた。
スタートから一気に駆け抜けるレースぶりとは違って、ゆっくりと余生を過ごすことができた
カルストンライトオ。「よく生きてくれた。本当にお疲れさん」とねぎらった。例え、新潟直線1000メートルのレコードが破られる日が来ても、顔の派手な流星とともに彼が残した記録と記憶は色あせない。私もファン時代、大好きだった最速ス
プリンターに、感謝の念を伝えたいと思う。(
中央競馬担当・山下 優)
スポーツ報知