2024年度の騎手免許試験の合格者が発表され、美浦の
尾形和幸厩舎に所属する
坂口智康助手が障害免許で合格した。助手から騎手に転身するのは
JRA史上初。快挙をなし遂げた坂口助手とは、どういう人物なのか。多忙のなか、時間を作ってもらいインタビューさせてもらった。
―騎手を志したきっかけを教えてください。
坂口助手「中学2、3年の頃に
中央競馬の騎手になりたいという夢があったのですが、当時の受験資格では目が悪いと受験できなくて。ただ、ここ数年で改訂されてコンタクトレンズでも受験可能ということで、10年以上も前の夢を実現させたいなという思いから、このような形になりました」
―2度目の挑戦での合格です。
「色々な方の支えがあって、合格することができました。1回目に落ちた理由は体力不足でした。明らかに人間の準備不足があったので、この1年間はパーソナルトレーナーにご指導いただきながら、体力強化をしてきました。あとは水、木、金曜は美浦の乗馬苑で馬術をいちから教えていただき、学科もいちから勉強し直しました」
―厩舎の仕事をしながらの準備は大変だったのでは?
「苦労と言われれば苦労かもしれないですけど、自分の糧になることですし、自分のためにやっていたことなので、結構楽しんでやっていたかなと思います」
―調教助手から障害騎手に立場が変わります。今、思うことはありますか?
「平地レースに比べて障害競走は人気、売り上げの面でも遅れを取っているので、もっと盛り上げていきたいという気持ちはあります。今回、厩舎従業員からの合格ということで、『坂口ができるのなら』と思った人はたくさんいると思うし、そういう方たちもどんどん挑戦してくれれば、障害界も活気づいてくるかなと思います」
早ければ3月2日からデビューが可能となる坂口騎手に今後も注目していきたい。(
中央競馬担当・西山 智昭)
◆坂口 智康(さかぐち・ともやす)1990年12月16日生まれ。33歳。福岡県出身。専修大学時代は馬術部の副主将。2012年の関東学生賞典馬場馬術大会で優勝。同年の全日本学生賞典馬場馬術大会では準優勝。2016年1月に
JRA競馬学校厩務員過程に入学。同9月から美浦トレーニングセンターで調教厩務員として働き始め、2020年10月から
尾形和幸厩舎に調教助手として所属。騎手転向後も同厩舎に所属予定。172・5センチ、53キロ。血液型はAB。
スポーツ報知