波乱の幕開けだ。今年の
JRA・G1開幕戦「第41回
フェブラリーS」が18日、東京競馬場で行われ、11番人気の6歳馬
ペプチドナイルがG1初出走初制覇。
武英智(ひでのり)師(43、顔写真)は開業7年目でうれしい初G1タイトル。鞍上の
藤岡佑介(37)は6年ぶりのG12勝目。2、3着には5番人気
ガイアフォース、13番人気
セキフウが追い込み、3連単は153万500円の高配当となった。
殊勲の
ペプチドナイルを満面の笑みで迎えた武英師。歓喜の輪が解けた後、はとこの
武豊に握手を求められると、深々と頭を下げた。
99年の騎手デビューから26年目。ようやく手にしたG1初タイトルに「いやあ、長かったです…」と感慨深げ。調教師としては若手だが、写真集も発刊された人気馬
メイケイエールで何度もG1に挑戦し敗戦を繰り返してきた。「人気で勝てないというレースが続いていたので」。壁の高さを痛感していたG1をついに制した。師は「オーナー、そして周りの方々に感謝したい。今後もこれまでの経験を生かして頑張りたい」と喜びをかみしめた。
ドンフランキーが前半5F57秒9の
ハイラップで飛ばす流れ。「自分が思ったよりペースが速かったんだろうと感じた」と鞍上の藤岡佑。直線は絶好の好位4番手で迎えたが、次々と先行馬が脱落。自然と先頭に立ったが、ゴールまで残りまだ200メートル。聞こえてくるのは追い込み勢の蹄音。歯を食いしばって駆け抜ける。最後は後続を1馬身1/4差で振り切った。
18年
NHKマイルC(
ケイアイノーテック)以来のG1勝利を飾った藤岡佑は「苦しい形だったけど本当に馬が頑張ってくれた。後ろからの馬が飛んで来ないことを祈っていました。直線は長かったです」と疲れた表情の中に充実感をにじませた。
6歳にしてG1初出走初Vの快挙。陣営は身体面の充実に加え、メンタル面の進化を強調した。指揮官は「いよいよ本格化してきたなと。自信はかなりあった」と笑顔。藤岡佑は「今日は
トップレベルの馬たちが遠征していた。(再戦の可能性がある)秋に向けてさらに力を付けていければ」と期待を込めた。
次走について明言はなかったが、今後は
レモンポップ、
ウシュバテソーロなどの強豪と戦っていくことになる。人馬ともに、我慢に我慢を重ねてつかんだ
ビッグタイトル。府中の長い直線を走り抜けた先には、新たな光景が広がっている。
◇武 英智(たけ・ひでのり)1980年(昭55)12月31日生まれ。滋賀県出身の43歳。父・永祥氏は元騎手で、昭和の名人と称された武邦彦氏(故人)のいとこ。豊&幸四郎兄弟とは、はとこの間柄。99年騎手デビューで
JRA通算1887戦66勝。目の不調が要因で12年9月に引退。木原厩舎の助手を経て17年に調教師免許取得。18年3月開業。
JRA通算1804戦139勝(重賞9勝)。
ペプチドナイル 父キングカメハメハ 母クイーンオリーブ(母の
父マンハッタンカフェ)18年4月24日生まれ 牡6歳 栗東・武英厩舎所属 馬主・沼川一彦氏 生産者・北海道浦河町の杵臼牧場 戦績20戦8勝(重賞初勝利) 総獲得賞金2億6259万6000円 馬名は冠名+
ナイル川より。
スポニチ