「サウジC・G1」(24日、キングアブドゥルアジーズ)
昨年は一年を通して海外を転戦した
デルマソトガケ。ドバイでUAEダービーを勝ち、BCクラシックでは日本馬として史上最高着順となる2着に食い込んだ。今回、大手ブックメーカー・英ウィ
リアムヒルが発表したオッズ(20日現在)は日本馬最上位となる2番人気。世界中からその走りに大きな注目が集まる。
本来は
東京大賞典を挟んで参戦する予定だったが、爪の状態が思わしくなく回避。3カ月半ぶりの休み明けとなった。中間は速い時計を5本と入念な乗り込みを消化。音無師は「ひと叩きしていれば、もっと自信があったよ」としたが、「脚元の不安はないし、態勢は整った」と力強くうなずく。前走のBCクラシックもぶっつけ本番で挑んで好走。「前につけられたし、3、4角では手応えが悪いのに最後まで止まらず差してきた。やっぱり勝負根性がある」と期待感をにじませた。
今でこそ世界に売れた“
デルマソトガケ”の名だが、「最初はね、光るものは感じなかった。普通に見えたんだよ」とトレーナーが語るように、芝でのデビューから2戦は(6)(4)着と苦戦。3戦目でダートに転向して、4戦目で勝ち上がった。その後の活躍は見ての通り。「競馬を使いながら成長したんだね。馬体重もそうだし、持っているものもだんだん強くなってきた。体幹なんかは見た目にも分かるほど強い。4歳になって本格化した感じもある」と指揮官の想定を超えて進化を遂げてきた。
過去にトレーナーが管理した
クリソベリルは、デビューから無傷6連勝で19年チャンピオンズCを制覇。だが、その勢いのまま4歳時に挑戦したサウジCで、まさかの7着に敗退。「日本の馬場に特化していた分、ぶっちぎって勝っていたけど、むこう(海外に)に行ったらソトガケの方が上だと思う。山砂、川砂を使う日本のいわゆるサンド馬場よりも海外の馬場が合う。それにクリソは内面的に弱い部分があって体重も減ったけど、ソトガケはへこたれない精神面の強さがある。そこは海外で生きてくる部分だね」と比較する。
今年で29年目となる調教師生活でも「これまでいなかった」と語る世界を狙える馬。「今年はサウジのあとにドバイ。オーナーとも話しているけど、順調ならBCにも行くと思う。その前に日本でも走らせたいね。僕が最後の年だから、また来年サウジに行くかもしれないけどな」。今年もまた中東の地から世界への挑戦が始まる。
提供:デイリースポーツ