◆サウジC・G1(2月24日、キングアブドゥルアジーズ競馬場・ダート1800メートル)
世界最高の優勝賞金1000万ドル(約14億1400万円)を誇るサウジC・G1(キングアブドゥルアジーズ競馬場)=
JRA海外馬券発売対象レース=は24日深夜(日本時間26時40分)に行われる。昨年のドバイ・ワールドC覇者
ウシュバテソーロは再び“世界一”となれば
JRAの獲得賞金歴代1位に躍り出る。馬主の了徳寺健二ホールディングス・広瀬祥吾副社長は「完成形になった」と手応えを明かした。
再び世界の頂点を目指す戦いが始まる。23年ドバイ・ワールドC覇者
ウシュバテソーロが、現役ラストイヤーの始動戦に、世界最高賞金がかかるサウジCを選んだ。広瀬副社長は放牧先の調教を担当するチェスナット
ファーム代表も務める。美浦入厩前の牧場での様子を語った。
「すごくいい状態でトレセンに送り出せました。前回(
東京大賞典)も調子は良かったですが、今回の方がよりいいですね」
昨年はドバイの大一番を制し、秋は米国に乗り込みブ
リーダーズCクラシックに挑戦。結果は5着とダートの本場の壁に阻まれたものの、力負けではないと断言する。
「現地でゲート練習の時にトラブルがあったりして自分のリズムを崩してしまった。調教も逆回りだったりとか、馬も戸惑っていたし、水が合わなかった感じです。レースでも前残りだったこともあって少し行きすぎたかな」
苦い経験も無駄にはしない。米国ではアイルランドの名伯楽エイダン・オブライエン調教師が管理馬たちに施すメニューをつぶさに観察。いいものを牧場での調教に取り入れた。
ウシュバテソーロにも変化がみられ、暮れの
東京大賞典連覇につながったという。
「何をするのも馬を縦列させて調教していた。コントロール性も良くなるし、馬が前向きになる。今まで牧場では単走で調教していたのですが、帰ってから縦列で調教するようになりました。トレセンでの調整もあるのでそればかりではないですが、競馬内容がガラっと変わった。今までは押しながらの競馬でしたが、
東京大賞典の道中で3回我慢させたと川田騎手が言っていました。久々に自分から動いていましたね」
7歳を迎え「完成形になった」と愛馬が頼もしく映る。初対戦となる昨年の最優秀ダート馬
レモンポップ、昨年の
BCクラシックで2着だった
デルマソトガケ、さらには、
BCクラシック覇者
ホワイトアバリオなど豪華メンバーでも、まったく臆するところはない。
「すごいメンバーですが、調子さえよければ、あっさりかなと思う。ワンターンの1800メートルも気にしていないです。直線は長いですしね。回りも左回りの方がいいですからね」
ドバイの衝撃から1年がたった。サウジCを勝てば歴代獲得賞金トップに立ち、さらに1着賞金が約9億8000万円のドバイ・ワールドC連覇なら、一気に30億円の大台も突破する。
「今年で最後ですが、引退させたくないくらい調子がいい。自分の競馬さえできれば」
中東ドリームを実現し、国内外で名実ともに頂点に君臨する態勢を整える。(松末 守司)
◆広瀬 祥吾(ひろせ・しょうご)1990年11月20日、北海道出身。33歳。了徳寺健二ホールディングス副社長兼チェスナット
ファーム阿見トレーニングセンター場長。父・亨氏は育成牧場「チェスナット
ファーム」(北海道浦河町)の代表を務める。幼少期から馬が身近におり、専修大時代の09年には全日本総合馬術大会で4位に入るなど、全国レベルで活躍。16年3月に同
ファームの阿見トレセンが開場し、のちに場長に就任した。
スポーツ報知