昭和の時代から
弥生賞ディープインパクト記念(3歳・GII・芝2000m、19年までは
弥生賞)は、
皐月賞(3歳牡牝・GI・芝2000m)の最重要
ステップレースだった。その最大の理由は、84年から舞台が同じ中山芝2000mとなったから。昭和なら
シンボリルドルフ、
サクラスターオー、平成では
アグネスタキオンや
ディープインパクトが、
弥生賞と本番の両方を制している。しかしながら、少し斜めから見ると、こんなことも言えないだろうか。
弥生賞と
皐月賞を連勝した馬は、10年の
ヴィクトワールピサが最後。その後は12連敗中(11年は東京競馬場開催のため除く)だから、同舞台の
トライアルにしては物足りない成績だと。
そこで近10年の両レースを振り返ると、明確な違いが見えてきた。一言で言えば、
弥生賞は「遅い」、そして
皐月賞は「速い」のだ。まずは勝ち時計。それぞれを比較すると以下の通り。
【
弥生賞】
1分59秒台:1回
2分0秒台:2回
2分1秒台:3回
2分2秒台:2回
2分3秒台:2回
【
皐月賞】
1分58秒台:4回
1分59秒台:2回
2分0秒台:4回
皐月賞は最も遅くても18年
エポカドーロの2分0秒8だった。
続いては前半3Fをチェックしよう。
弥生賞は34秒台が1回、35秒台が2回、36秒台が7回。対する
皐月賞は34秒台が2回、35秒台が7回、36秒台が1回となっている。
ここまでのデータをまとめると、ざっくり言って、
弥生賞は
皐月賞に比べると勝ち時計で2秒、前半3Fでも1秒遅い。それだけに末脚が生きる
皐月賞とは対照的に、
弥生賞は先行力と
パワーが求められる傾向にある。その典型は
サトノクラウンと
タスティエーラが父仔制覇を達成したこと。また、
ディープインパクト産駒は通算7勝しているが、そのうち4頭の母の父が
フレンチデピュティだったことも興味深い。
今年は少数精鋭のメンバーとなりそうな
弥生賞。この中から先行力と
パワーに秀でた馬となると、筆頭候補は
シュバルツクーゲル(牡3、美浦。
鹿戸雄一厩舎)だろうか。前走の東京スポーツ杯2歳Sは番手から踏ん張って2着。父
キズナ×母の
父Monsunの配合は欧州でも走れそうな重厚感に溢れている。前々から並み居るラ
イバルを振り切り、高配当の主役となっても驚かない。