今、VTRを見てもドキドキする。
ディープインパクトが勝った、と分かっているのに、である。
残り200メートルで内から
アドマイヤジャパン、
ダイワキングコン、
マイネルレコルト、
ディープインパクトが4頭横並び。しかも
ディープインパクトは手前が替わっていない。
それでも大きな完歩で前に出る
ディープインパクト。内から食い下がる
アドマイヤジャパン。最後は首差、
ディープインパクトが前に出た。
ダービー制覇に向け、この
弥生賞が最大のポイントだった。ダービーで
ピークを迎えるためには、ここで仕上がりすぎては、よろしくない。
ディープインパクトが現役生活を終えた後、市川明彦厩務員に聞いたところ「今だから言えるが、
弥生賞での仕上がりは6割だった」と明かしてくれた。
「
ディープインパクトなら6割の出来でも勝つだろう」と思うのは、我々がその後の同馬の活躍を知っているから。当時はまだ2戦2勝のオープン馬でしかなかったのだ。6割なら何とか突破できるのでは、とにらんだ陣営の読みには感服するしかない。
実際、ダービー直前、同厩務員は「出来は100パーセントになりました」と話していた。
弥生賞で状態を上げすぎなかったことが吉と出たのだ。
今年のクラシック戦線も、ここから佳境へと入っていく。
ディープインパクトの頃と、外厩が状態面において鍵を握る現代とは微妙に趣は異なるが、ダービーに向けての“コンディションづくり”という面での戦いは、もう始まっていると思っていいのだろう。
スポニチ