水色の
ジャージーを大勢が身にまとい、3日3日に中山競馬場で行われた小桧山悟調教師の引退式。「小手川、堀内先生との3人でおそろいの
ジャージーを作成したのと、盛大に送り出しましょうとみんなに声をかけた」と師匠への感謝の気持ちを込めて、調教師最後の舞台を演出したのが、
青木孝文調教師。その様子をうれしそうに眺めるまな弟子たちの姿が印象的で、まさに師弟愛という言葉がぴったりだった。
青木厩舎は3月1日付で、小桧山厩舎に所属していた
原優介騎手を所属騎手にした。「人を育てるとか大げさなものではなく、縁があった人物同士で信頼関係を結び、成績をお互いに上げていきたい」と説明。「誠意をもって目の前の人を大切にする」というのが青木調教師の考えで、人を大事にしてきた師匠と通じるものがある。8年目を迎え、厩舎のカラーは確立されつつあるが「スタッフは仕事がしやすくて、毎日厩舎に来るのが苦ではないこと。周りからという点では、やることをやっているうえで成績が出て、うらやむような厩舎にしたい」と理想を掲げる。
そんな青木厩舎に初めての重賞制覇と、G1タイトルをもたらした
マイネルグロンが、今週の
阪神スプリングJ(9日、阪神)で始動する。
転厩初戦となった2022年3月5日の障害4歳上未勝利で初勝利を飾ると、昨年は破竹の4連勝で一気にG1ウイナーへ駆け上がった。転厩当初は「いい馬体をしているとは思ったけど、ここまで来るとは、正直思っていなかった」と本音を打ち明ける。
22年の清秋ジャンプS2着後に、6か月の休養。その後に快進撃が始まるわけだが、「休養で特に変わったことはなかった。あまり得意ではない直線ダートに加えて、仕上がりも6、7分で勝ち切ったのが大きかった」とターニングポイントに4走前の勝利を挙げる。
東京ハイジャンプ、
中山大障害を連勝した前2走は「馬の進化のスピードが予想以上に早かった」と成長ぶりに舌を巻く。特に10馬身突き放した
中山大障害の強さにはびっくりしたそうで「勝つということに関しては不思議ではなかったけど、あそこまでのパフォーマンスを出すとは…」と想像をはるかに超える強さを見せた。
阪神スプリングJに向けて師は「時計もコンスタントに出せているし、追い切りの段階でほぼ仕上がっている」と出来に不安はない。「(石神深)騎手もあれだけ自信を持ってくれているし、俺は普通のコメントにしておくよ。無事に回ってきてくれれば」と冗談を交えながら王者の自信をのぞかせる。追われる立場になっても気負うことなく、これからも自然体でレースに挑む。(
中央競馬担当・浅子 祐貴)
スポーツ報知