【競馬人生劇場・平松さとし】
ドゥレッツァがデビューしたのは2歳だった2022年の9月。1番人気に推されたが3着に敗れた。しかし、11月に臨んだ2戦目は、1番人気に応えて快勝。年が明けて、3戦目を迎える予定でいた。
「ところがそこで挫石や傷腫れが相次ぎ、使えなくなってしまいました」
当時を述懐するのは
尾関知人調教師だ。
結局、戦列に復帰できたのは4月になってから。クラシック1冠目の
皐月賞(G1)が目前に迫った時期だった。この
山吹賞はスタートで落馬寸前の不利がありながら、最後は楽に抜け出し、先頭でゴールイン。ダービー(G1)にギリギリ間に合うか!?という時期に2勝目を挙げた。再び尾関師の弁。
「競馬ぶりが良かったので
青葉賞を使えば権利を獲れて、ダービーに出られるかと考えました」
しかし、そこでもう一考したと続ける。
「ただ、権利を獲れたとしても、本番のダービーでも好勝負ができるのか?と考えると、ここで無理をさせてはいけないと考え直しました」
自重。続く一戦はすでにダービーが終わった後の6月。ホンコンジョッキーCTとすると、ここも快勝。さらに8月の
日本海Sで4連勝目を飾ると、ついにG1への出走を表明。
菊花賞(G1)にエントリーした。
「大外(17番)枠に決まった時は、やはり大外で5着に負けた
グローリーヴェイズのことが頭に浮かび、嫌な感じがしました」
ゲートが開くと道中ハナに立つ場面。長丁場のG1でいきなり今までやったことのない形になり「目を覆った」と続けた。ところが…。
「掛かったと思えたのに、最後に突き放しました。あまりの強さに驚きました」
こうして菊の大輪を射止めたわけだが、春に無理してダービーへ向かっていたら、
ドゥレッツァの馬生はまた違ったものになっていただろう。
そんな
菊花賞馬が今週の
金鯱賞(G2)で戦列に復帰する。休み明けも苦にせず連勝を6に伸ばすか。注目したい。 (フリーライター)
スポニチ