GI昇格後の
ホープフルSを牝馬で初めて制した
レガレイラが、クラシック参戦を表明している。結果は神のみぞ知るところだが、ファンを興奮させる果敢な挑戦には拍手を送りたい。それはさておき7年前、
皐月賞で1番人気に支持された天才フィリーがいたことを覚えているファンはどのくらいいるだろうか。その馬の名は
ファンディーナである。
タイ語で「良い夢を」という意味を名付けられたその馬は、3歳1月の遅めのデビューから新馬、
つばき賞と楽勝で2連勝。続く
フラワーCでは単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持される。
圧倒的な期待を背負った
ファンディーナは、
岩田康誠騎手を背に12番と外枠ながらも道中2番手につけると楽な手ごたえで追走。4角手前で
ゴーサインが出て先頭に躍り出ると、持ったままで5馬身差の圧勝を収めた。
その後はオーナーサイドの意向もあり、中2週の
桜花賞ではなく、中3週で牡馬相手の
皐月賞を次走に選択。クラシック登録がなかったため、追加登録料の200万円を払っての出走だった。48年の
ヒデヒカリ以来、69年ぶりの牝馬による戴冠が期待された一戦。ファンの期待は単勝2.4倍というかたちとなって表れた。しかしながら直線で一度は先頭に立つも伸びを欠いて7着、人気に応えることはできなかった。
ファンディーナ以降、牡馬クラシックに参戦した牝馬は4頭いる。19年の
菊花賞には当時340kgの超軽量だった「小さなアイドル」こと
メロディーレーンがエントリー。12番人気の低評価ながら、メンバー中最速タイとなる上がり3F35秒7を使い、
ワールドプレミアから0秒4差の5着に健闘した。
その2年後、21年の
日本ダービーには
桜花賞2着の
サトノレイナスが挑戦。2番人気となり、名伯楽・
国枝栄調教師のダービー初制覇が期待されたが、0秒2差の5着に敗れた。そして同年の
菊花賞には
ディヴァインラヴが挑み、
福永祐一騎手(現・調教師)に導かれて3着に奮闘。47年のブラウニー以来となる74年ぶりの戴冠こそならなかったが、牡馬顔負けの走りでファンを驚かせた。
これまで牝馬で牡馬クラシックを制したのは、07年の
ウオッカをはじめ6頭(クリフジは
日本ダービー、
菊花賞の2勝)。さて、今年のクラシックではどんなドラマが待っているのだろうか。
レガレイラが
皐月賞を勝てば、76年ぶり3頭目の牝馬V。歴史的な瞬間を見たいファンは少なくないだろう。
【00年以降の牝馬の牡馬クラシック成績】
・07年
日本ダービー…1着
ウオッカ(3番人気)
・09年
菊花賞…17着
ポルカマズルカ(15番人気)
・14年
皐月賞…11着
バウンスシャッセ(12番人気)
・14年
日本ダービー…12着
レッドリヴェール(4番人気)
・17年
皐月賞…7着
ファンディーナ(1番人気)
・19年
菊花賞…5着
メロディーレーン(12番人気)
・21年
日本ダービー…5着
サトノレイナス(2番人気)
・21年
菊花賞…3着
ディヴァインラヴ(6番人気)