◆第73回
スプリングS・G2(3月17日、中山・芝1800メートル、良)
皐月賞(4月14日、中山)
トライアルの第73回
スプリングS・G2は17日、中山競馬場で行われ、1番人気の
シックスペンスが無傷V3で重賞初制覇。2着
アレグロブリランテ、3着
ルカランフィーストとともに優先出走権を獲得した。
3コーナー過ぎでルメールは「ペースが速くないので早めに外に出した」と、持ったまま進出。直線入り口で並びかけると、坂下から次元の違う瞬発力を見せ、逃げ粘った2着馬を3馬身半も突き放した。上がり3ハロンはメンバー最速となる33秒3。鞍上が「反応がすごかった」と絶賛すれば、国枝調教師も「理想的な競馬だね」と声を弾ませた。
ルメールにとっては昨年12月の
ホープフルS(
レガレイラ)以来、今年16戦目で初タイトルとなった。地方、海外を含めて3月まで重賞未勝利だったのは、骨折で戦線を離脱していた15年以来。ようやく目覚めた名手にスタンドのファンからは「待ってたぞー!」と声援が飛んだ。本人も「久しぶりですごくうれしいです」と笑顔をはじけさせた。これで14年連続、通算148度目の
JRA重賞制覇。44歳になっても、そつのないレース運びは全く衰えを見せない。
アーモンドアイ、
アパパネといった2頭の3冠牝馬を育てた国枝調教師は、現役唯一の1000勝トレーナーでもある。全く底を見せずにデビュー3連勝を果たした
キズナ産駒で、初の牡馬クラシック制覇のチャンスが巡ってきた。トレーナーは「オーナーサイドと協議するよ」と次走について明言を避けたが、鞍上は「コントロールが利いているし、距離が延びても問題ない。2000メートル以上もいけると思います」と断言。
皐月賞だけでなく、
日本ダービー・G1(5月26日、東京)との2冠制覇の可能性にも言及した。あと2年で定年を迎える名伯楽の夢は膨らむばかりだ。(角田 晨)
◆
シックスペンス 父
キズナ、
母フィンレイズラッキーチャーム(父トワリングキャンディ)。美浦・
国枝栄厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算3戦3勝。重賞初挑戦での勝利。総獲得賞金は7287万3000円。馬主は(有)キャロット
ファーム。
◆中山・芝1800メートルでの上がり3ハロン33秒3以内 今回の
シックスペンスで10頭目。これまでの最速は02年
毎日王冠(東京が改修工事中)で8着の
ビッグゴールドが記録した33秒1となっている。勝ち馬に限れば17年
山藤賞(現3歳1勝クラス)の
レッドローゼス(33秒3)以来の2例目。
〈
皐月賞本番でも
シックスペンスは脅威の存在に〉
毎日杯を残すものの、本番のメンバーがほぼ固まった。昨年同様に出走可能となる
ボーダーラインが高く、ハイレベルな面々がそろった。なかでも
スプリングSの
シックスペンスは際立つ強さ。スローの3番手で展開も有利に働いたものの、それ以上に目を引いたのが瞬発力だ。
ゴーサインが出されてからの力強い加速は、ラ
イバルの一枚も二枚も上を行くもの。操縦性の良さを武器に本番でも争覇圏をにぎわす存在になるはずだ。
続くのは、デビュー2戦目の
共同通信杯で2歳マイル王
ジャンタルマンタルを完封した
ジャスティンミラノか。スッと2番手につける鞍上の好判断もあったが、後傾ラップで後半2ハロンが10秒台という厳しい流れを押し切ったのだから、能力は疑いようがない。
ホープフルSと
報知杯弥生賞ディープインパクト記念で連続2着の
シンエンペラーを物差しにすると、牝馬の
レガレイラの決め脚は上位。報知杯
弥生賞が余力のある勝ちっぷりだった
コスモキュランダもフロックでは片付けられない。いずれにしても
シックスペンスの出走権獲得は他陣営にとっては脅威となりそうだ。(石行 佑介)
スポーツ報知