3月24日の阪神11R・
六甲ステークス(4歳上オープン・リステッド、芝1600メートル、15頭立て)で、9番人気の
ボルザコフスキー(牡5歳、栗東・
清水久詞厩舎、父
キズナ)が直線の競り合いを制し、初のオープン勝ち。手綱を執った
吉村誠之助騎手(18)=栗東・
清水久詞=は、
JRA初勝利を飾った。通算34戦目。勝ち時計は1分34秒3(重)。
ゴール前の大接戦の中から抜け出したのは、ルーキー吉村の手綱に応えた
ボルザコフスキーだった。「ゴール板を通過した瞬間は、確信はなかったのですが、周りの方から“しのいでいるよ”と声をかけられました」。3月2日のデビューから34戦目。待望のデビュー初白星にも落ち着いて振り返った。
「少し時間がかかってしまいましたが、馬主さんをはじめ、先生や関係者の皆様が良い馬を僕のために用意してくださって、本当に感謝しています。レース前は緊張と不安がありましたが、ゲートが開いてからは自分が思った騎乗ができるようにと心がけました。道中、うまく抑えが利かないところがありましたが、馬が頑張ってくれました」
兵庫・園田で大活躍中の
地方競馬トップジョッキーの父・智洋さんは「ホッとしました」と表情を緩めた。3月2日のデビューから3週間、レース場に足を運び、すべてのレースを見守り続けていた。「この馬、出遅れたりするので大丈夫かなと思っていましたが、スタートは上手ですね。これまでも、うまく出しています。折り合いに専念して、ロスなく内を回ってきました」と合格点を与えた。
父として、ジョッキーとしてアド
バイスを送っていた。前日(23日)の最終レースでは、2番人気の
ネイトで5着。騎乗ぶりから焦りを感じていたという。「あんな乗り方をするなら、2度と乗るな。とにかく、焦らず、落ち着け」。偉大な“大先輩”の一言に、見事に応えた。
初勝利がメインレースという、
JRA競馬学校卒業生では6人目となる記録もついてきた。「もっと、もっと、上手に騎乗できるように、そしてゆくゆくは日本のトップジョッキーとして名を上げられるように頑張っていきたいです」。また一人、魅力のあるジョッキーが力強く、第一歩を踏み出した。(吉田 哲也)
スポーツ報知