「
高松宮記念・G1」(24日、中京)
春の短距離王決定戦を制したのは、好位を進んだ6番人気の
マッドクール。直線で最内から力強く脚を伸ばし、重賞初Vを見事にG1の舞台でやってのけた。この勝利で同馬を所有する(有)サンデーレーシングは、史上初の馬主によるJRA・G1完全制覇を達成した。2着は昨年に続く銀メダルとなった2番人気の
ナムラクレア。3着には5番人気の香港馬
ビクターザウィナーが入り、1番人気の支持を受けた
ルガルは伸びを欠いて10着に沈んだ。
雄大な芦毛の馬体は、まるで重戦車のよう。
マッドクールは荒れた馬場を力強く踏みしめながら、G1初戴冠のゴールへ向けて一直線。最後に猛追してきた
ナムラクレアを頭差退けて、堂々と短距離王の座に君臨した。昨年の
スプリンターズSが鼻差の2着。秋に味わった悔しさを、ひと冬の成長で見事に雪辱した。
もうコンビは組めないかもしれない-。そう思うほどの悔しさを乗り越え、その先につかんだ歓喜。殊勲の坂井は「最後は分からなかったけど、何とか勝てて良かった。未勝利を勝った時から
高松宮記念を意識していた馬。去年の秋は悔しい思いをしたので、リベンジできてうれしい」と、かみしめるように語った。
(2)番枠から抜群のスタートを切ると、香港馬
ビクターザウィナーを行かせてインの3番手へ。「勝つならスタートを決めてハナの後ろ」。鞍上が想定した通りのポジションでリズム良く追走した。4角ではラ
イバルが荒れた内を避けて外へ進路を取るなか、迷いなく最内を選択した。荒れ馬場も苦にしない
パワーで後続を引き離し、最後までリードを守り切った。
笑顔で人馬を出迎えた池添師は「(馬体重は)香港で減らした分が戻り、成長分があっての大幅プラス。状態は良かったです」と仕上げに胸を張った。戦法については「(坂井)瑠星とは1頭分だけ走りやすい内を突こうと話していましたが、その通りの競馬でしたね」と有言実行のレースぶりを称賛した。トモの緩さや脚部不安と向き合いながら着実に階段を上がってきた分、5歳でもまだキャリア12戦。「これが完成ではないし、もう1段上に行けたら」とさらなる成長を期待する。
次戦は状態次第で、
チェアマンズスプリントプライズ・G1(4月28日・香港シャティン)に参戦するプランもある。国内ではリベンジを完遂したが、香港の地にも忘れ物がある。再び海を渡るのか、それとも国内のス
プリント界完全制圧を目指すのか-。桶狭間でひと皮むけた5歳馬から目が離せない。
提供:デイリースポーツ