◆第54回
高松宮記念・G1(3月24日、中京・芝1200メートル、重)
春のG1シリーズ開幕となった第54回
高松宮記念は24日、中京競馬場で行われ、6番人気の
マッドクール(坂井)が雨のなか、重馬場の直線を内から力強い脚で伸びて重賞初VをG1で飾った。前走の
香港スプリント8着から巻き返し、G13度目の挑戦でつかんだ
ビッグタイトル。馬主のサンデーレーシングは、これで
JRA・G1全26レースを完全制覇となった。
雨が降り続く尾張の地で、若武者のタクトがさえ渡った。
マッドクールに騎乗した坂井は、逃げる
ビクターザウィナーが直線で馬場の真ん中に進路を取るなかで、迷うことなくインを突く。相棒を鼓舞し、残り200メートルからステッキを6発入れると、重い馬場を一直線に突き進んで栄光のゴールへ飛び込んだ。
コンビを組んで7回目となるパートナーの重賞初Vを、G1の大舞台で決めた坂井は「勝つならスタートを決めて、ハナ(逃げ馬)の後ろを取ろうと考えていました。思っていたなかで一番いい形で進めました」と会心の
スマイル。雨の中、ラチ沿いを駆けて6馬身差で逃げ切った
毎日杯の
メイショウタバルに続く、連日の神騎乗だった。
昨秋の
スプリンターズSは鼻差の2着。6番人気での健闘にも悔しさしかなく、鞍上は「もうコンビを組めなくてもおかしくないところで、また依頼していただきました。結果で応えるしかないと思っていました」。リベンジの舞台に向け、2週続けて追い切りで感触を確かめ、施されたこん身の仕上げ。香港遠征で減った分も回復し、キャリア最高となる540キロの雄大な馬体を、池添調教師は「成長分です」と
スケールアップを確信。坂井も「まだまだ伸びしろがあります」とさらなる進化に期待を寄せた。
今後は招待を受けている香港G1・
チェアマンズスプリントプライズ(4月28日、シャティン・芝1200メートル)が視野に入る。池添師は「今後は種牡馬になってほしい一頭」という
ダークエンジェル産駒の進路を慎重に決めていく。香港
メディアが会見で「(香港で)1か月だけでも短期免許を取得する気はないか?」と質問が飛ぶと、「ぜひ!」と笑顔で答えた坂井。短距離界に誕生した新星と、今週末はドバイで戦う若きスター騎手に世界が熱い視線を送っている。(玉木 宏征)
◆
マッドクール 父
ダークエンジェル、
母マッドアバウトユー(父インディアンリッジ)。栗東・
池添学厩舎所属の牡5歳。愛国モイグレアスタッドFの生産。通算12戦6勝(うち海外1戦0勝)。重賞初勝利。総獲得賞金は3億3346万6000円。馬主は(有)サンデーレーシング。
スポーツ報知