エピファネイア、
リオンディーズ、
サートゥルナーリアと母として3頭のGI馬を送り出し、現代の日本競馬の血統表でその名を見ることも当たり前となりつつある
シーザリオ。競走馬としても日米の
オークスを制するなど6戦5勝という素晴らしい成績を残している。
その
シーザリオが唯一2着に敗れたのが05年の
桜花賞だった。この年の牝馬クラシック第1弾、今となっては意外に思われるかもしれないが、混戦模様だった。1番人気は単勝3.9倍で
シーザリオ。デビュー3連勝で
フラワーCを制した無敗馬。ただ、主戦の
福永祐一騎手が
ラインクラフトに騎乗するため、この日は吉田稔騎手が手綱をとった。その
ラインクラフトが4.6倍の2番人気。ここまでの3勝が全て1400mだったため、マイルの距離が最大の課題とされていた。この2頭から少し離れて、
武豊騎手騎乗の
エルフィンSを制した
エアメサイアが6.5倍で3番人気。さらに
アンブロワーズ、
エイシンテンダーまでが単勝オッズ1桁台だった。
当時28歳、
ラインクラフトを駆った
福永祐一騎手(現・調教師)の手綱捌きが光った。旧コースの阪神芝1600mで不利と言われた外枠も何のその、17番枠から好位の外を確保。
モンローブロンドがつくる前半5F58秒0のハイペースをリズム良く追走した。迎えた直線、押し切りを図る
デアリングハートを残り100mで競り落として先頭へ。その刹那、外から
シーザリオが襲い掛かってきたが、わずかにアタマ差抑えて先頭でゴール。見事に桜の女王の座に就いた。
シーザリオは結果的に中程の7番枠がアダとなった。勝負どころで包まれた分、仕掛けが遅れたことで、結果的に生涯唯一の黒星となる2着。吉田稔騎手としては悔やまれるレースだっただろう。
一方、このレースで評価を上げたのは
デアリングハート。ハイペースを早め早めの立ち回りから粘り込んで3着に入った。その
デアリングハートは孫の代で3冠牝馬の
デアリングタクトを出して、後に牝系としても評価を高めることとなる。そして
エアメサイアは4着。後方からジリジリと脚を伸ばしたものの、勝ち負けには届かず。後に
オークスで2着、そして
秋華賞を勝つことからも分かるように、マイルは距離不足だったといえるだろう。
そんな名牝たちを退けた
ラインクラフトは、次戦となる5月の
NHKマイルカップで牡馬も一蹴してGI連勝を決める。その2着となったのは
デアリングハート。
桜花賞勢が1、2フィニッシュを決めて世代の強さを改めて証明した。