米国行きのチケットをもぎ取った。30日(日本時間同日深夜)、アラブ首長国連邦であったドバイ国際競走(メイダン)のUAEダービーで
フォーエバーヤング(牡3=矢作)が大外11番ゲートからスムーズに立ち回り、2馬身差の快勝でデビュー5連勝。
ケンタッキーダービー(5月4日、
チャーチルダウンズ)につながる一戦をものにした。この日、日本調教馬は7競走に計22頭が出走。ドバイワールドCの
ウシュバテソーロは2着に敗れ、連覇はならなかったが
JRA所属馬の歴代獲得賞金ランキングで単独トップとなった。
絶対的な強さで道を切り開いた。
フォーエバーヤングがデビューから無傷の5連勝。
ケンタッキーダービーにつながる譲れない一戦でも結果を出し、坂井はゴール後に右手人さし指を突き上げた。サウジダービーに続く海外重賞連勝で、世界のホースマンから熱い視線を注がれた。
道中は大外枠から先団の後ろへ。外々を回しながら位置を上げて2番手で直線に向くと
アウトバーンとの叩き合い。ギアを切り替えると力強く抜け出した。坂井は「前走より馬のコンディションが良く、距離が延びてポジションを取りやすかったです。自信を持って乗りました」と胸を張った。矢作師は感極まった様子で「私事になりますが、私の師匠でもある父(大井の元調教師・矢作和人氏)が今朝、亡くなりました。勝っていい報告ができて良かったです」と切り出し、さらなる躍進に向け「全てにおいて総合力が高い。アメリカへの輸送を経て、コンディショニングが非常に難しいと思うけど、うちのチームならそれをやってくれるんじゃないかと思います。万全の準備をして向かいたい」と意気込んだ。
厩舎に初の海外G1タイトルをもたらしたのが、
フォーエバーヤングの父
リアルスティール(16年
ドバイターフ)だった。あれから8年、
リスグラシューや
ラヴズオンリーユー、
マルシュロレーヌなど後輩馬が結果を出してきた。ただ、もちろん全てがうまくいくとは限らない。昨年はサウジアラビアからドバイと同じローテで渡米した
コンティノアールが左後肢の歩様の乱れで
ケンタッキーダービー2日前に出走取消。そんな苦い経験も糧にし、チャレンジし続ける。「まだ3歳の春なので旅をさせること。それが将来につながると思います」と信念を貫く。弟子の坂井と快進撃を続ける逸材。史上初の日本馬の
ケンタッキーダービー制覇へ。その野望をはっきり視界に捉えている。
▽ロード・トゥ・ザ・
ケンタッキーダービー 全47レースで構成された、
ケンタッキーダービー(フルゲート20頭)の出走馬選定シリーズ。UAEダービーは米国ラウンドに組み込まれ、フロリダダービーやブルーグラスSなど米国内の最重要
ステップと同じく1着100ポイントで勝てば本番の出走が当確となる。近年、国際的な関心を高める狙いから外国馬の誘致に力を入れ、16年に日本ラウンド、18年に欧州ラウンドを新設した。今年、日本ラウンドは
伏竜S1着の40ポイントで
テーオーパスワードが1位となり、米遠征を予定。大手ブックメーカーの英bet365社は
フォーエバーヤングを3番人気9倍、
テーオーパスワードを7番人気タイ21倍に設定している。
スポニチ