皐月賞と言えば、やはりこの男。
武豊の3勝を超える、歴代最多の4勝を挙げる
M.デムーロ騎手である。ローマ出身ながら、陽気な性格で「イ
タリア系関西人」の異名をとったトップジョッキー。
ネオユニヴァースや
ドゥラメンテなど、騎手人生を彩ってきた名馬と勝ち取った4回のレースを振り返りたい。
初勝利は短期免許時代の03年の
ネオユニヴァースだった。中団から馬群を捌いて伸びると、食い下がる
サクラプレジデントをアタマ差凌いで先頭でゴール。その直後、馬上からサクラの鞍上・
田中勝春騎手の頭をポカンと叩いたシーンは語り草。当時24歳、これが
JRAのGI初制覇でもあった。
翌04年には10番人気の
ダイワメジャーを駆って、番手から堂々の押し切り。地方の雄・
コスモバルクの夢を打ち砕いたレースとして記憶しているファンも多いだろう。これで初参戦だった02年の
タイガーカフェ(2着)から3戦2勝、2着1回。一気に「デムーロ=
皐月賞」のイメージが定着し始める。06年から11年まで参戦が途絶えたが、13年に
ロゴタイプで3勝目をマーク。
そして
JRAの通年免許を獲得した15年に
ドゥラメンテで4勝目を手にした。このレースは後方からとなった上、4角で大きく外に膨らむロスがあったが、直線で強烈な末脚を発揮しての差し切り。デムーロ騎手が開催4日間の騎乗停止処分を受けたように、決して手放しで喜べる内容ではなかったが、実にインパクトのあるレースだった。その後は勝利から遠ざかっているが、昨年は12番人気の
ショウナンバシットで見せ場たっぷりの5着。依然として「皐月男」らしさは健在だ。
今年は
サンライズアース(牡3、栗東・
石坂公一厩舎)で参戦する。昨年10月の新馬(京都芝2000m)は逃げ切り。その後、年末の
ホープフルSは出走取消となったが、立て直して2月の
すみれSへ。デビュー戦とは一転、後方からの競馬となったが、3角手前から捲って先頭へ。そのまま危なげなく押し切って、堂々のデビュー2連勝を決めた。レースぶりはまだまだ粗削りだが、それだけに伸びシロは大きく、デムーロ騎手が3戦連続で手綱をとれるのも大きい。今回は大幅な相手強化となるが、楽しみなチャレンジといえる。
デムーロ騎手にとっては、21年の阪神JFの
サークルオブライフ以来となる
JRA・GI制覇、そして自身が持つ最多勝記録を更新する
皐月賞5勝目がかかる一戦。9年ぶりとなる戴冠で「皐月男」の面目躍如といきたい。