クラシック3冠初戦「第84回
皐月賞」の最終追い切りが10日、東西トレセンで行われた。3頭出し矢作厩舎の
シンエンペラーは新コンビの坂井が騎乗し、栗東坂路でパワフルな動き。楽な手応えでラスト1F12秒3でフィニッシュ。鞍上が「能力はG1級」とほれ込む逸材が外国産馬初の
皐月賞制覇に挑む。一方、美浦では前走の
弥生賞ディープインパクト記念で
シンエンペラーを破った
コスモキュランダに好気配。先週の
桜花賞を制したモレイラを背に力強い動きを見せた。
3頭出し矢作厩舎の大将格
シンエンペラーは新コンビの坂井を背に坂路で最終追い。リズム良く加速ラップを刻んで駆け上がっていく。やや頭の高いフォームながら、脚さばきはダイナ
ミック。チップを高々と蹴散らして、ラスト1Fは12秒3でフィニッシュした。
鞍上は「イメージ通りのいい追い切りができたと思います。デビュー前(の調教)から乗せてもらっていますけど相変わらずいい馬。フットワークが他の馬と違ってフォームも若干高いけど推進力もあって操縦性もいい」と感触を口にした。
見守った矢作師は「普通の馬なら非常にいい動きなんだけど」と前置きした上で「あの馬に求めているのは(ラスト)12秒ぎりぎりのところで来てほしかった」と
ジャッジ。「筋肉や体はメリハリが出て良くなっているが自分の求めているところには達していない。状態が悪いということではないが、もう一段上がり切らないのかなというのが率直な印象です」と語った。
20年
凱旋門賞を制した
ソットサスの全弟。血統的にも期待は大きい。指揮官は「
ソットサス以上をもちろん求めていますし、それだけの器だと思う。いろんな意味で幼さがあるので経験を積みながら良くなってくれたら」。昨秋の
京都2歳Sで重賞初制覇。暮れの
ホープフルS、今年初戦の
弥生賞ディープインパクト記念は連続2着に敗れたが、世代
トップレベルの力を示してきた。「もちろん勝てるチャンスの位置にはある馬だと思う」と意気込む。
キャリア4戦は全て異なる騎手がコンビを組み、クラシック3冠初戦は新たに弟子の坂井を起用。師は「あまり意識しないようにはしていますが、よそでばっかりG1を勝って、うちで勝たないんで何とかG1を勝ってほしいなと思います」と“愛のあるエール”を送った。
《フォンテンさんが研修中》3頭出しで注目を集める矢作厩舎で、
オーストラリアNo・1女性調教師のゲイ・
ウォーターハウス厩舎に所属するジャック・フォンテンさん(35)が研修中。シドニー大学を中退後、
ハンバーガーチェーンを6店舗も経営していた異色の経歴を持つ。「人生は面白くないと」と思い、30歳になって競馬の世界に飛び込んだ。「
リスグラシューが一番好きな馬。世界中で結果を出されている先生のところに来ました。素晴らしい経験ができています」と感謝。
オーストラリアで来年の開業を目指している。
スポニチ