JRAは11日、先週土曜の阪神競馬7Rでの落馬事故で入院していた藤岡康太騎手=栗東・フリー=が10日午後7時49分に死去したと発表した。35歳。JRA騎手の落馬による死亡事故は04年の竹本貴志騎手以来で20人目。G12勝を誇る人気ジョッキーのあまりに短過ぎる人生に、競馬界が悲しみに包まれた。
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弟と同じ1988年生まれ。個人的な親近感も手伝い、競馬担当になった頃から気が合う存在だった。食事やカラオケで盛り上がったり、忘年会で一緒に羽目を外した夜も。あの屈託のない笑顔がもう見られないと思うと、たまらなくさみしい。
普段のノリの良さと、仕事への誠実さ。そのギャップが魅力的で、関係者の信頼も厚く、心から尊敬できる男だった。数年前の北海道の夜。彼がしてくれた話を昨日のことのように覚えている。
「僕はなりたくてジョッキーになりましたし、それを今、仕事にできていますからね。大西さんも好きで記者になったんですよね?本当に好きなことを職業にできている僕らって、実は結構幸せだと思うんですよ」
しんどい時、自分の原点を思い出させてくれたこの言葉には何度も救われた。デスクとなり現場を離れた私が、ヘルプでトレセンに最後に取材に行ったのが昨年6月。いつもの笑顔で第1子が生まれたことを教えてくれたのが、対面での最後の会話になってしまった。大好きな騎手という仕事で輝く父の姿を、息子さんにもっと見せられたはずなのに…。私は今もなお、早過ぎる別れを現実として受け入れられずにいる。(デイリースポーツ・大西修平)
提供:デイリースポーツ