10日に35歳でこの世を去った藤岡康太騎手を悼み、阪神競馬場などで13日、1R発走前のウイナーズサークルで騎手仲間や関係者によって黙とうがささげられた。
阪神競馬場ではターフビジョンに「黙祷」の2文字が映し出されるなか、兄の佑介、日本騎手クラブの
武豊会長、先週の落馬で療養中の和田竜も喪服で駆けつけ、同期の浜中、荻野琢は藤岡康太さんが生前着用していた
ナミュールの
ジャージーを掲げて祈りを捧げた。また、騎手全員が喪章を着用し、半旗も掲揚。競馬場で配布されるレーシングプログラムには表紙に弔意が掲載された。
1R終了後、藤岡佑は思いを語った。
「まずは康太のことに関して、たくさん心配していただいてありがとうございました。きのう、無事に家族で見送ることができたので、僕も含め家族も少しずつ気持ちの整理が付いてきているので、時間はかかると思いますが、前を向いていけるかなと思っているところです。気持ち的に落ち着かなければ、競馬に乗るのも失礼だと思ったので、その辺りも考えたのですが、生前から康太とは一緒に乗っている以上はこういうこともあり得るとよく話していて。お互いが相手の馬に乗っかかる形で落ちることもある。そういう覚悟がなかったわけでもないですし、僕は受け入れられるのも早かったのかなという気持ちはあります。突然のことで、お別れできないまま逝ってしまって、心に留めてくださっているジョッキーの方もたくさんいて。朝、(
武豊)会長の方からみんなにひと言、声を掛けてあげてほしいということで、あいさつさせてもらう場面もつくっていただいて。気持ちを伝えることもできたので、なかなかすぐにとはいかないかもしれないですけど、一日でも早く、明るい空気が戻って、安心して康太が見守れる状況になればなと思っています。ファンの方も今までできていたこととか、楽しめていたことがそうじゃなくなってしまうというのは康太の本意とするところじゃないと思うので、変わらず応援してくれたらうれしいなと思います。JRAの方の配慮で、そういう場所(献花台)を作ってもらって、康太自身もこれだけたくさんの人に応援してもらっていたんだと実感できると思いますし、家族も康太が生きてきた証しとして見えることは悪いことじゃない。すごくありがたいと思っています。心配の声を僕自身にも掛けていただいていますが、朝から一つ騎乗馬を用意していただいて乗れたことですごく落ち着けましたし、思っていた以上に冷静に競馬に乗ることができたので、心配せずに今まで通り安心して応援してもらえればと思います」
提供:デイリースポーツ