ほんのひと月前までうず高く積もっていた路肩の残雪もにわかに消え去って、桜前線の到着を今か今かと待ち望んでいるかのような、春の初めの日高門別である。
そんななか、2024年のホッカイドウ競馬が開幕を迎える。オープニングを飾るこの重賞は、全日本的なダート体系整備の一環として今年から新設されたものだ。3歳限定戦に生まれ変わった8月の
北海道スプリントCを占う上で、重要な一戦である。
この世代の短距離トップクラスが揃い踏みしたハイレベルなメンバー構成だが、なかでもエース格は、唯一の地元重賞2勝馬である
トラジロウだろう。この先のさらなる躍進のためにも、ここは格好をつけておきたいところである。
ただ、このレースの難しいところは、開幕週に行われるということ、つまり、
トラジロウ含めほとんどのメンバーが、冬季の休み明け緒戦であるということだ。オフシーズンのある門別では、開幕当初のレースは仕上がりの差が結果に直結しやすい。重賞とて例外ではなかろう。とすれば、例年、この時期のレースにおいてアドバンテージとなる「冬場にレースを使っている強み」は、ここでも適用できるはず。
そういう考え方で、筆者は
デュアルロンドに注目した。この馬は昨年12月と今年2月に中央1勝クラスへ挑戦しており、その点で、開幕に向けた仕上げの進みは他馬より早い。2走前の寒椿賞では中身のある競馬もしていて、経験値の面でもプラス
アルファが見込めそうである。狙い目は今回ではないだろうか。
そのほか、サッポロクラシックCの勝ち馬
オスカーブレイン、
栄冠賞の勝ち馬
ストリームに注目すべきなのは当然として、
エーデルワイス賞最有力と目されながら、骨折により戦線離脱を余儀なくされた
ヨシノヒローインの復帰も見どころのひとつである。
2歳重賞の実績馬たちが、例年になくシーズンを跨いで地元に残ったことは、ダート改革によるひとつの功績に映る。2歳戦のみならず、ホッカイドウ競馬の新たな魅力に、ぜひ今年は期待してもらいたい。
(文:競馬ブック・板垣祐介)