「もう生活していくのもギリギリの状態だったみたい」
わずか10数年前、荒尾競馬場(熊本県)の廃止に際し、同競馬場出身の関係者が口にした言葉だ。2011年12月、荒尾競馬は経営不振により廃止。九州の
地方競馬は
佐賀競馬場ただ一つとなった。
今年、その
佐賀競馬場に初めてJBCがやってくる。競馬を続けたくても叶わなかった仲間の思い、近年ふたたび盛り上がりを見せる九州の馬産地の情熱を背負い、新年度のキャッチフレーズを「九州競馬魂」に掲げる。
JBCが行われるのは振替休日の11月4日(月)。
JBCレディスクラシック(1860m)、
JBCスプリント(1400m)、
JBCクラシック(2000m)の三競走のほか、地方全国交流で九州産限定の重賞・2024九州産
グランプリ、2歳王者決定戦の
ネクストスター佐賀も行われる予定だ。レディスクラシックの1860mはJBCに合わせて新設された距離、ス
プリントには連覇がかかる
イグナイター(兵庫)や、ダート
グレード3連勝を果たした
サンライズホーク(
JRA)が早くから目標に掲げ、クラシックも役者揃いとなる見込みで、目が離せない。
県外からアクセス向上のため、今月からは九州新幹線の新鳥栖駅からバス(片道300円)の運行も始まった。これにより、新大阪駅から最短3時間(乗り換え時間含まず)で
佐賀競馬場にたどり着ける。競馬場に一歩足を踏み入れれば、あったかくてアツい「うまてなし」を受けることができ、九州名物・豚骨ラーメンや、可愛い馬グッズの販売も行うカフェFUJIなど、競馬ファンを楽しませてくれる。
さらに、
地方競馬初のアイドルプロジェクトも本格始動する。九州と山口県出身者で構成される「UMATENA」がいよいよ4月28日にデビューするのだ。デビュー曲『
Fanfare〜幸せの合図〜』はサビの「馬うま
キュンッ」のフレーズと馬ポーズが早速人気で、佐賀競馬の調教師にはすでにマスター済みの猛者も出現。佐賀競馬公式YouTubeチャンネルではUMATENA密着動画や、彼女たちと学ぶ馬券講座などすでに動画も多数アップされており、見逃せない。
そしてもう一つ、何と言っても見逃せないのは佐賀三冠の一冠目・佐賀
皐月賞(1800m)だ。UMATENAのデビュー日である4月28日に実施予定で、昨年は宮崎県生まれの
ネオシエルが完勝。今年、中心の1頭は重賞3勝を挙げる
トゥールリーだ。園田に遠征した
ネクストスター西日本こそ6着に敗れたが、先行力が武器。また、大井・
京浜盃を挫跖のため回避した
ウルトラノホシもここを目標に調整が行われており、間に合えば雄大な馬体が繰り出す迫力ある走りが楽しみだ。
レースもファンサービスもアイドルもアツい佐賀競馬。廃止された中津や荒尾をはじめ、九州のホースマンの夢と希望を背負って、今年度も駆け抜ける。
(文・大恵陽子)
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