馬主として
ビッグタイトルを手にしている著名人は数多い。では、
グレード制導入後に芸能人で初めて
JRAのGIを制したのは誰だったのか? その答えは07年の
ヴィクトリアマイルを
コイウタで制した前川清氏(名義は前川企画)である。
コイウタは
父フジキセキ、
母ヴァイオレットラブ、母の
父ドクターデヴィアスの血統。北海道・千歳の社台
ファームの生産馬だった。3歳時の
クイーンCで重賞初制覇。しかし、牝馬3冠は
桜花賞が3着、
オークスが競走中止、
秋華賞が17着と結果を残せず。その後も勝利には手が届かなかった。年が明けて4歳を迎え、ダービー卿CTで2着に健闘。ようやく復調を果たし、迎えた一戦が
ヴィクトリアマイルだった。
カワカミプリンセスや
スイープトウショウとったGI馬が人気を集め、
コイウタは単勝60.3倍の12番人気。しかしながら絶好の4番枠、そして当時22歳の
松岡正海騎手の
ファインプレーが波乱を呼ぶこととなる。GIにしては緩いペースとなる中、
コイウタは先団直後を追走。直線で馬群の内目に進路を取ると、一完歩ごとに前との差を詰める。残り100m、逃げ粘る
アサヒライジングを捕らえると、もう前には誰もいなかった。そのまま先頭でゴールを駆け抜けると、右手を大きく突き上げて
ガッツポーズ。会心の手綱捌きで、松岡騎手としても初めてとなるGIタイトルをつかんだ。
古くは女優の高峰三枝子氏が所有するスウヰイスーが、52年の
桜花賞と
オークスを制したことがあった。しかし、84年の
グレード制導入後では初となる、芸能人馬主のGI制覇。それだけに当時は大きな話題となった。その後は
キタサンブラックの北島三郎氏(名義は大野商事)、
ヴィルシーナ&
シュヴァルグラン&
ヴィブロスの佐々木主浩氏、
コパノリッキー&
コパノリチャードの小林祥晃氏など、多くの有名人が
JRA・GIを制している。今後も多くの著名人が馬主となり、競馬界を盛り上げてくれることを期待したい。