「
かしわ記念・Jpn1」(1日、船橋)
まんまと逃げ切った。雨中の大一番を制したのは6番人気の
シャマル。4度目のビッグ挑戦でついに頂点を射止めた。2着には昨年の2着馬で5番人気の
タガノビューティーが中団から追い込み、3着には先行した3番人気の
ペプチドナイルが入り、3年連続でJRA勢が上位独占。1番人気の
キングズソードは伸びを欠いて4着に敗れた。地方馬では7番人気の
ミックファイアの5着が最高だった。
問答無用の積極策が功を奏した。朝から降り続く雨の中、この日の船橋競馬は“先行馬の天国”と化していた。川須&松下師コンビの作戦は決まっていた。「この馬が一番速い。スッと行けるなら行こう!」。
抜群のスタートから、同型馬に有無を言わさずの徹底先行。終始セーフティーリードを保ちながら直線へ。2馬身半差の完勝に、鞍上は「ラスト400メートルからは馬に“あと400だよ”と伝えながら追いました。200メートルを過ぎても後ろの蹄音が聞こえなかったので、たぶん離れているんだろうなと思って。強いところを見せることができて良かったです」とスタンドからの大歓声に応えた。
デビュー戦からコンビを組んできた思い入れのあるパートナー。Jpn3ではコンビで4勝をマークしていたが、自身にとってもデビュー15年目にして初の
ビッグタイトル。馬上で大きく立ち上がる、ド派手な
ガッツポーズで喜びを爆発させた。「雨も味方してくれた。先生と勝つつもりで来たので勝てて良かった。夢のよう」と笑みがはじけた。
5走前の
さきたま杯では1番人気に支持されながら競走中止の悪夢。そこからリズムを崩したが、前走の
黒船賞を連覇して復活の兆し。「紆余(うよ)曲折ありましたが、ホントに勝てて良かった」とは松下師。19年
阪神JFの
レシステンシアで芝のG1は制しているが、ダート
グレードは初の戴冠。「天も味方してくれましたね。(直線も安心して?)ドキドキでしたよ」と笑いが止まらない。
次走は「オーナーと相談して」今年からJpn1に昇格した因縁の、
さきたま杯(6月19日・浦和)でのリベンジが濃厚。秋はJBC(11月4日・佐賀)挑戦と再び夢が広がった。「これで賞金も加算できたので、どこでも使えますね」。完全復活なった実力馬が、再びダート短距離戦線での大暴れを誓った。
提供:デイリースポーツ