この舞台では絶対に負けられなかった。3歳マイル王決定戦「第29回
NHKマイルC」が5日、東京競馬場で行われ、2番人気の
ジャンタルマンタルが優勝。昨年の
最優秀2歳牡馬が
最優秀2歳牝馬アスコリピチェーノ(1番人気)の追い上げを退けた。鞍上の
川田将雅(38)は11年連続、管理する
高野友和師(48)は4年連続のG1制覇となった。
これが昨年の2歳牡馬王者の力だ。直線、川田のアクションにきっちり応え
ジャンタルマンタルは力強く抜け出す。2歳女王
アスコリピチェーノとの差は大きな2馬身半。鞍上は「2歳牝馬チャンピオンが出ているということばかり取り上げられる中で、この馬も2歳のチャンピオンでしたから。この馬にふさわしい競馬をしようと思いました」と圧巻の走りを振り返った。
「3、4角で負けることはないと思いました」。鞍上も納得のレース運びだった。好スタートからリズム良く3番手を追走。ペースが上がった4角過ぎでは、アスコリと馬体が合う。内を選択したアスコリがスムーズさを欠く中、ジャンタルは内から4頭目のポジションから力強い伸び。上がり3F33秒9の脚を繰り出し、直線半ばですでに独走態勢。後続に影をも踏ませない完勝劇だった。
陣営渾身(こんしん)の勝負手が功を奏した。前走
皐月賞(3着)でダービーへの優先出走権を獲得。だが、高野師は適性を重視しマイル路線へ舵(かじ)を切った。「今後のことは考えずに、ここで結果を出そうとやってきた」。消耗戦となった前走から中2週の過酷ローテ。目に見えない疲労が残る中、陣営は懸命にケアして本番に備えた。師は「競馬に行っても冷静に走れるように、騎手に安心して乗ってもらえるように操作性を意識して丹念にやってきた成果。直前までの雰囲気は
皐月賞の時よりも冷静だった」と思惑通りの仕上がりに笑みを浮かべた。
朝日杯FSに続くG1・2勝目でマイルは3戦無敗。鞍上も「心身ともに成長してくれれば、日本で一番強いマイルの馬になれる可能性があります」とその素質を高く評価している。今後は休養を挟み秋へと備える予定。世代の頂点から、日本の頂点へ。ジャンタルが新緑の府中からさらなる大舞台へと羽ばたいていく。
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ジャンタルマンタル 父
パレスマリス 母インディアマントゥアナ(母の父ウィルバーン)21年3月21日生まれ 牡3歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市の社台
ファーム 戦績6戦4勝(重賞3勝目) 総獲得賞金3億2052万8000円 馬名の由来はインドにある天体観測施設。
スポニチ