きょう5月13日は「カクテルの日」。1806年5月にニューヨークの週刊誌で初めて「カクテル」という言葉が登場し、発刊翌週の13日にカクテルの定義を正式に文書化したことが由来になっている。競馬界において関わりは深く、カクテルの名前が馬名につけられる場合も。競馬界×カクテルやお酒のあれこれを深堀りしてみた。
ジンをベースにライム
ジュースを加えてつくられる「ギムレット」。そんなお酒の名前を取り入れたダービー馬が
タニノギムレットである。冠名+カクテルの名前から名付けられ、デビュー3戦目の
シンザン記念から
アーリントンC、
スプリングSと重賞3連勝を飾り、クラシックへ参戦。
皐月賞は3着に敗れたが、
NHKマイルCの3着を挟んで、
日本ダービーで世代の頂点に立った。
お酒の系譜は続く。同馬と
タニノシスターのあいだに生まれた仔こそ、牝馬として64年ぶりのダービー制覇を決めた
ウオッカである。ウォッカはギムレットよりもアルコール度数が高いことにちなみ、「
タニノギムレットよりも強くなって欲しい」という想いを込めて名付けられたのだった。そんなオーナーの願いは、史上初の
日本ダービー父娘制覇や、GI・7勝という輝かしい結果で成就した。
「フィズ」とは、アルコールの有無に関わらず、炭酸を使った飲み物の総称。こちらもカクテルの一種と言えるが、
マンハッタンカフェの妹の
マンハッタンフィズの一族は、馬名の一部をカクテル名でつなぐ。その仔にあたり、10年の
クイーンSなど重賞2勝を挙げた
アプリコットフィズや弟の
ダービーフィズや
インペリアルフィズなど。さらに
アプリコットフィズの仔には杏を原料とした蒸留酒、
アプリコットブランデーを由来にした
バラックパリンカもおり、血統表の一部はさながらバーのメニューのようだ。
そのほかにカクテルの名前が付く(=由来とは限らない)
JRA重賞馬を調べてみたところ、
アップトゥデイト、
ブラックホーク、
スティンガーなどGI馬をはじめ、
オーヴェルニュ、
フレンチカクタス、
ルージュバックなど数多く存在。条件馬や地方馬なども含めれば100頭以上がいるようだ。
そして、お酒×競馬で忘れてならないのが
ミントジュレップであろう。競走馬名としても実在しているが、
ケンタッキーダービーの“公式ドリンク”として有名で、バーボンウイ
スキーと
ミントを使ってつくるカクテル。同レースの出走馬がパドックから本馬場入場する際、観客たちが「
ミントジュレップ」を片手に『My Old Kentucky Home』を合唱するのが、おなじみの光景となっている。
昨今では競走馬をイメージしたカクテルが提供されている店舗も多数存在。競馬界とお酒は強い結びつきがあると言えよう。これからも馬名に限らず、多くの人々をその走りで「酔わせる」名馬が、多数誕生することを願わずにはいられない。