「
オークス・G1」(19日、東京)
史上18頭目の牝馬クラシック2冠制覇へ向けて、
桜花賞馬
ステレンボッシュが15日、美浦Wで最終追い切りを行った。3頭併せで活気あふれる動きを披露し、万全の仕上がりをアピールした。10年
アパパネ、18年
アーモンドアイと2頭の3冠牝馬を送り出した名伯楽・国枝師が期待を寄せる好素材。樫の女王の座を射止め、偉大な先輩に続く。
これぞ名伯楽たるゆえん。
桜花賞馬
ステレンボッシュの最終リハは、スタンダードに見えながらも、細やかな采配が施されていた。
朝一番の美浦Wに登場し、3頭併せの最後方を追走。折り合い重視で、リズムよく運んでいるかのように見えた。だが、国枝師の目にはやや物足りなく感じたよう。「道中が遅いから、途中から(無線で)指示を出したんだ。あまり軽くてもね」。各ライダーがペースを上げ、追い切りの負荷がワンランク上がった。
4角ではコーナーワークで内に潜り込み、直線に向くと自らハミを取ってグンと加速。ゴール前は余力十分に外
テンペスト(4歳1勝クラス)と併入、中
ウィンターダフネ(4歳2勝クラス)には半馬身先着を決めた。
6F83秒6-35秒6-11秒4。数字的にも、途中からギアが上がったことは一目瞭然だ。指揮官は「しまいしっかり走れていたのでね。先週もキチッとやっていますし、十分かなと思います」と内容に合格点を与える。経験則から、元気いっぱいの
ステレンボッシュに対しては“攻め”の
サイン。最後に加えたスパイスが、勝負の分かれ目となるかもしれない。
次なる舞台は東京芝2400メートル。適性については「きょうも折り合いは全然問題はなかったですし、乗りやすい馬なので大丈夫かなと思います」と攻略に自信をのぞかせる。ストロングポイントは「落ち着きがあって、慌てない。余裕がある」ところ。デビュー時から“
オークス向き”と評されてきた逸材が、いよいよその時を迎える。
“牝馬の国枝厩舎”。偉業を成し遂げた
アパパネ、
アーモンドアイという先輩と比較されるが、トレーナーは「ここに至るまでは同じぐらい順調に来られている。まあ、これからの活躍にもなりますけどね。現時点では同じぐらい、いっているのではないか」と同等の評価を与える。3冠の資格を持った唯一の存在。「2回負けていますけど、それなりの理由もあったので。能力的には十分いいモノがある。期待に応えたいなと思っています」。偉大な先輩たちの足跡をなぞり、3冠ロードを突き進む。
<調教診断>戸崎圭が騎乗した1週前追い切りは、3頭併せで6F83秒6-36秒9-11秒1を記録。同じシチュエーションで全体時計は全く同じだが、直前の3Fのタイムは35秒6。ロングスパートをかけた分、先週よりも負荷がかかったが、引き揚げてきた時には既に涼しい顔をしていた。これだけやれるのは体調のいい証拠で、馬体の張り、ツヤも申し分ない。手脚の長い胴長の体形で、うっすらとあばらが浮いたスレンダーな馬体はいかにも
オークス向き。2冠制覇へ、準備は整った。
提供:デイリースポーツ