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【日本ダービー】戸崎「康太と一緒に勝ちたい」 皐月賞馬ジャスティンミラノで悲願の初優勝へ

スポニチ
  • 2024年05月20日(月) 05時10分
 競馬の祭典「第91回日本ダービー」(26日、東京)に向けての1週間が始まった。史上8頭目の無敗2冠を目指す皐月賞ジャスティンミラノ陣営に迫る連載企画「FORZA!(頑張れ)MILANO」がスタート。初回はスポニチ本紙コラム「KEITA〜LK」でおなじみの主戦・戸崎圭太騎手(43)。節目となる10度目のダービー挑戦。悲願の初優勝へ、その胸中を熱く語った。(取材&構成・田井 秀一)

 戸崎にとってダービーは「特別ではなかった」。初出場は14年前。独特の雰囲気にのまれ、ダービーの重みを痛感した。その8年後、皐月賞エポカドーロと挑んだ18年は2着惜敗。ワグネリアンで初戴冠となった福永祐一(現調教師)の号泣を間近で目にした。

 「凄く遠くに感じた半馬身差でした。神様に“おまえじゃない”と言われているみたいで…。祐一さんがあれだけ喜ぶ姿を見て、次こそ勝ちたい、自分もその景色を絶対に見てみたいと思いました」

 ダービーは夢に変わった。だからこそ、翌19年ダノンキングリーの首差2着は「一番悔しかった」。人気を分け合うライバルを意識するあまり、前を行く伏兵ロジャーバローズを捉え切れず。どうにかできたんじゃないか――。その夜は眠ることができなかった。

 同年11月に落馬事故で右肘を骨折し、長期の戦線離脱。「もっと馬を感じないといけない、と思い直す機会になった。あのケガがあったから今の自分がいます」。大事にするのは、言葉が話せないサラブレッドとの会話。「馬がどう考えているのか、どういうアプローチをすればより走ってくれるのか。より繊細に考えるようになりました」。今は競馬が楽しい。6年前はそっぽを向いていたダービーの神様も「今なら少しは僕の方を向いてくれているんじゃないかな」。

 そして、今年のダービーは一人じゃない。相棒ジャスティンミラノは落馬事故のため、先月10日に35歳の若さで亡くなった藤岡康太さんが調教パートナーを務めていた。皐月賞の1週前追い切りにも騎乗し、状態を詳細に伝えてくれた。「おこがましいかもしれないけど、康太のためにも勝ちたいと強い気持ちで臨みました」。直線では不思議な力を感じた。先頭でゴールした瞬間、自然と涙がこぼれた。レースに勝って泣いたのは初めてだった。「いつもニコニコして周囲に愛されていた。でも、競馬では思い切りが良くて、ずっと見習いたいと思っていました。昨年のマイルCS(ナミュールで1着)も凄かった」。道半ばでこの世を去った後輩に思いをはせる。

 ダービーが迫っても雰囲気を「味わう余裕がある」のは戦友のおかげ。「変わったことといえば、取材が増えてヒゲをそる回数が増えたぐらい」。その柔和な表情に重圧は感じられない。「一人じゃないという思いが心強い支え。康太と一緒に戦って、一緒に勝ちたい」。2人でダービージョッキーに――。きっと、夢はかなう。

 ◇戸崎 圭太(とさき・けいた)1980年(昭55)7月8日生まれ、栃木県出身の43歳。98年に大井競馬で騎手デビュー。地方通算2332勝を挙げ、13年にJRAへ移籍。翌14年から3年連続、16年には史上初となる制裁点0でリーディング(年間最多勝)を獲得。JRA通算1492勝(うち重賞73勝)。血液型B。座右の銘は「自分に勝つ」。

 ≪史上8頭目無敗2冠へ≫20年コントレイル以来、史上8頭目の無敗2冠が懸かるジャスティンミラノ。史上最少キャリア3戦目で制した皐月賞は右回り、小回り、1周コース、ハイペースと初物尽くしも、終わってみればコースレコードで完勝。戸崎は「バネ、筋肉の質、フットワーク、パワー。全てのバランスが良くハイレベル。何より名馬特有の雰囲気を感じます」と称賛する。

 ダービー3勝の友道厩舎からは昨秋以降、依頼が急増。今年は【4・4・1・2】と驚異的な成績で新たな黄金タッグ誕生を予感させる。「厩舎の仕上げは間違いない。ダービーの方が合う見立ては友道先生と同じ。跳びがゆったりしていて広いコース向き。操縦性が高くて体力もあるので距離も延びていい」と鞍上は手応えを隠さない。

 ≪坂路で順調調整「気持ちと体整ってきた」≫ジャスティンミラノは日曜朝、栗東坂路で調整。大江助手は「動きは言うことなかったし、だいぶ気持ちと体も整ってきた」と満足げ。「今年に入ってからの成長が著しい。この馬の走りの良さを生かせるのは東京が一番だと思う」と自信の口ぶり。距離こそ違うが東京はデビューから2走して連勝。2冠制覇へ、準備万全だ。

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