「競馬の祭典」と言われる第91回
日本ダービー・G1(26日、東京)に、
武豊騎手(55)=栗東・フリー=は
シュガークンとのコンビで参戦する。自身が騎乗し、数々の名シーンを生んだ名馬・
キタサンブラックの半弟との大舞台を「盛り上がるでしょ」と楽しみにしているレジェンド。同レース歴代最多6勝を挙げる名手が、今年も「まつり」を彩る。
競馬の祭典にふさわしいコンビだ。
武豊は今年、
シュガークンと
日本ダービーへ臨む。G1・7勝を挙げ、自身が主戦を務めた
キタサンブラックの半弟。「あれだけの良血馬だからね。良かったよ、出られて。盛り上がるでしょ」と、胸を躍らせる。
猛烈な勢いで、この舞台への道を切り開いた。今年2月のデビュー戦は、加速に時間を要して2着に敗退。しかし、早めに動いて快勝した2戦目で、
武豊は「動きがもう、ガラッと変わった。前向きさが出た」と成長を確信した。「うまくトントントンといったら、ダービーの出走権取れるんじゃないか」と、頂上決戦を意識した瞬間だった。
続く大
寒桜賞は、兄をほうふつとさせる逃げ切り。
青葉賞は、好位追走からスパートする正攻法で制した。思惑通り、3連勝でダービー切符を獲得。
武豊は「こんなにうまくいくとは。一戦ずつ良くなっている。控えたら収まるし、折り合いがつくし、馬込みも平気。今まで全部違う競馬場、距離で結果を出してくれてる」と、急成長ぶりと自在性に目を見張る。
一方、これまで
青葉賞組からダービー馬は生まれていない。名手は「
青葉賞、勝ってしまったね(笑い)」と冗談を飛ばしつつも「王道は
皐月賞からだからね。ジンクスでも不思議でも何ともない」と冷静。「間に合った組だから。晴れ舞台なんでね、出られて良かった」と、負のデータには固執しない構えだ。
今年で第91回を迎えるダービーにおいて、
武豊の騎乗は35回目。「20万人入った、ナカノコールの
アイネスフウジンのとき(90年)も乗ってたし、無観客(20年)も乗ってた。0人も20万人も、いろんなダービーがあるよ」。「乗り過ぎや」と軽口をたたけるほど、歴史を知り尽くしている。
歴代最多の6勝を挙げていても、ダービーは特別。これまで府中で聞いてきた
ユタカコールを「うれしい。最高の瞬間かもね」と感慨深げに振り返った。「相手はものすごく強いけど、楽しみはある。(ダービーは)毎年出たいし、毎年勝ちたいね」。レジェンドと名馬の弟が、競馬の“まつり”を沸かせる。
(水納 愛美)
◆
キタサンブラック 12年3月10日生まれの牡馬。15年
皐月賞3着から挑んだ
日本ダービーは14着だったが、
菊花賞でG1初勝利。16年から
武豊が騎乗し、同年の
天皇賞・春、
ジャパンCに勝利。17年は
大阪杯V、天皇賞は春秋制覇、引退レースとなった
有馬記念も勝ち、コンビでG16勝を挙げた。歌手の北島三郎がオーナーで、G1勝利時は
ウィナーズサークルで名曲「まつり」を披露するシーンも。20年には顕彰馬に選出。現在は種牡馬として、G16勝の
イクイノックスなど活躍馬を多数出している。
疲れなし万全 〇…未勝利からの3連勝で駒を進めてきた
シュガークンは全休日の20日、滋賀・栗東トレーニングセンターで英気を養った。その様子を確認した宮本助手は「いつも通り落ち着いて、問題ないです」と笑顔。先週は
武豊の騎乗で追い切られ、CWコースでラスト2ハロンは10秒9、11秒1と優秀な数字でまとめた。「追い切りは先週も動けていたし、見た目に疲れは感じません」と同助手。万全の状態で祭典に臨む。
2月デビューVなら24年 〇…
シュガークンのデビューは今年の2月4日で、出走メンバーの中では最も遅い。それどころか、年明けに初戦を迎えた馬も他に一頭もいない。2月デビューで
日本ダービーを勝てば、00年の
アグネスフライト以来24年ぶりの快挙となる。
アグネスフライトは00年2月6日にデビュー。
若葉Sで12着に敗れた後、若草S、
京都新聞杯と2連勝していた。
◇
青葉賞馬の
日本ダービー成績 これまで1着馬はなし。重賞に昇格した94年以降も【06220】。2着は94年
エアダブリン、02年
シンボリクリスエス、03年
ゼンノロブロイ、06年
アドマイヤメイン、11年
ウインバリアシオン、12年
フェノーメノの6頭。
白馬
ロボット騎乗「不思議」 〇…
武豊騎手は20日、都内で
JRAのCMに出演している俳優・佐々木蔵之介(56)、女優・見上愛(23)とともに
日本ダービーのPRイ
ベントを行った。会場には白馬の
ロボットが展示され、騎乗姿を披露。スーツ姿で
ロボットにまたがると「休みの月曜日に馬に乗る機会はあまりない」と会場を笑わせ、「すごくよくできている。不思議な感じ。本当に生きているみたい」と
ロボットの出来栄えに感心していた。
スポーツ報知