JRAの厩務員、調教助手らが組織する3労組(関東労、関西労、美駒労)が、
日本ダービー前日となる25日午前0時から24時間のス
トライキを決行。現状について、日本調教師会の
中竹和也会長が苦しい胸の内を明かした。
25日の開催(東京、京都)は通常通り行われ、調教師、組合非加入者、補充員らで業務を遂行。中竹会長は東京9R
富嶽賞に出走する
ニフェーデービルのパドックを引き終え、レース終了後に取材に応じた。「今まで、私たちが積極的に発信して来なかった理由としては、競馬は楽しむためのものですし、身内の問題をファンに知られてしまうのはいいことではないな、と。これまでは黙って見てきましたが、今言えることをお話しさせていただきます」と口を開いた。
労組側は調教師会に対して、11年以降に就労した厩務員のいわゆる新賃金体系を、それ以前の厩務員の賃金体系に一本化してほしいと要求しているが、「当時は(売り上げが)苦しい状況で、今のままでは立ち行かないと、競馬に携わる皆が給料や手当等を2から3割下げた。しかし、それまで働いてきた従業員だけが、給料はそのまま。人員の減少による負担こそあったが、彼らは経済的な痛みを伴わなかった。下がった時に下げなかった人が、上がった時に上げてくれ、というのは理屈としてどうなのか。われわれとしては、賃金体系は新賃金体系一本であるとの認識」と主張。2年連続となるス
トライキとなったが、「表現は違うが、内容は同じ。彼らの持つ数字もわれわれと相違がある」と答えた。
ス
トライキの手法についても言及。慎重に言葉を選びつつ、「スト権は労組の権利ですから、否定する気はありません。ただ、今回は(水やエサやりをする)保安員も置かなかった。言いたくはないが、ホースマンとしてはがっかりする手法。これは今回が初めてだと思います」。先の見えない状況の中でも、歩み寄る努力は続けたという。
「私と担当理事が水面下で美浦へ行き、解決の糸口を探ろうと接触を試みましたが、一度のみならず2回も断られました。こうなると、なすすべもなく…。それでも、何とか解決するために模索していく。それが現在の状況です」
最後の団体交渉で決裂し、現在、ストに至っている。「長引くのは大きなデメリット」と苦渋の表情を浮かべるが、現状は打つ手なし。「既にこちらから提示する材料もなく、話を持ちかけられない状況です。組合側は100か0か、といった感じ。パワハラや有休など、われわれが制度関連と呼んでいるものは納得してもらっている。今は賃金だけ。長年、お互いが精いっぱい、妥協点を探してやってきましたが…。今回に関しては出口の見えないトンネルですね」。果たして、双方が手を取り合い、ともに未来へと歩み出せるのだろうか。
提供:デイリースポーツ