◆第91回
日本ダービー・G1(5月26日、東京競馬場・芝2400メートル)
様々な角度で見てきたが、最初に言えるのは
ジャスティンミラノは強い。「前哨戦」でハイレベルと位置づけた
共同通信杯や
皐月賞を勝ち、
メイショウタバル不在で先行馬が少ない「展開」も向く。2冠は十分にあるだろう。
ただ、それ以上に魅力を感じたのが◎
シンエンペラー。決め手となったのは考察にはない取材の「感触」だった。今週の追い切り直後。矢作調教師は「今回は全く違う。はるかに良くなっている」と口にした。今まで何度も聞いてきたのが「新馬の状態が一番良かった」という言葉。特に前走の
皐月賞時は慎重だった。しかし、今回は対照的。栗東・CWコースの1週前追い切りで初めて6ハロン80秒を切る79秒8をマーク。指揮官は「今回は新馬以上かも」と笑った。
本調子ではなくても「データ」で取り上げた報知杯弥生賞→
皐月賞のローテで大崩れしなかったのは高い能力の証し。カギは時計勝負への対応だが、
皐月賞でも5着ながら1分57秒5という時計で走れている。しかも、2冠目は高速ラップにはならないと予想される。ならば、イメージは今回と同じ東京で好位から上がり33秒8を繰り出し、3馬身差をつけた昨秋のデビューV。底知れない能力に大きな上積みを加えてきた“
エンペラー”が大逆転劇を演じる。
馬券は当然、
ジャスティン絡みを分厚く。「前哨戦」特注馬の
エコロヴァルツは枠が気になり、最後の△は展開利ある
ダノンエアズロックに切り替えた。(山本 武志)
プロローグを書いていた週始めの時点では、実は
ジャスティンミラノと
アーバンシックが本命候補だった。小回りの中山より、広くて直線の長い東京でパフォーマンスを上げてきそうなタイプと考えていたからだ。
アーバンシックは追い切りでの上昇度にも心を動かされた。しかし、有利な展開と素質の高さから、最終結論は◎
シックスペンスでまとまった。
メイショウタバルが出走取消となり、明確な逃げ馬不在でスローペースは必至。先行力を発揮してデビュー3連勝を飾ってきたように、好位でリズム良く運び、ヨーイドンの切れ味勝負は望むところだ。
皐月賞馬の瞬発力は誰しも認めるところだが、
シックスペンスは昨年9月の新馬戦(中山・芝1600メートル)でラスト1ハロン10秒7を叩き出している。ここ一番の決め手は、逆転できるレベルにあると信じる。
この中間の調整も絶妙なさじ加減で悔いのない出来で送り出せそうだ。1週前までにおおむね仕上がり、その週末に軽めの調整で済ませたことは不安材料ではなく、あくまでオーバーワークを避けたもの。「もともと硬くなりやすい馬だからね。落ち着きはあるし、(
桜花賞馬の)
ステレンボッシュと同じでレースに向かうにあたっての余裕があるよね」と国枝調教師。悲願のダービーVが懸かる指揮官自身にも、余計な力みはない。信頼するスタッフとともに夢をかなえる。3連単軸2頭マルチ(12)(15)から(2)(6)(8)(9)(13)へ。(坂本 達洋)
スポーツ報知