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【追憶の安田記念】00年フェアリーキングプローン 英語、中国語が乱れ飛んだ歓喜の口取り

スポニチ
  • 2024年05月29日(水) 06時45分
 今年の安田記念にはロマンチックウォリアー(セン6=シャム)、ヴォイッジバブル(セン5=イウ)の香港馬2頭が参戦する。

 香港馬は過去、安田記念を00年フェアリーキングプローン、06年ブリッシュラックで2勝。ロマンチックウォリアーヴォイッジバブルは18年ぶりの香港馬による安田記念制覇を目指す。

 今は世界各国に以前とは比較にならないほどの高額賞金レースがある。しかも、日本調教馬のレベルの高さはすっかり世界に知れ渡った。そんな中で来日して、日本の競馬を盛り上げてくれることは本当にありがたい。

 00年フェアリーキングプローンは10番人気ながら安田記念を制した。馬券はかすりもしなかったが、抱き合って大喜びする香港関係者の姿を見て、気持ちが和んだことをよく覚えている。

 オーナーのフィリップ・ローさんは「ずっと叫んでいた。何が何だか分からない」と大興奮。「初めての海外遠征で勝つなんて。アラン調教師の大ヒットだ!」と叫んだ。

 個人的には98年夏、フランスのドーヴィルシーキングザパールモーリス・ド・ゲスト賞を勝ち、日本調教馬による海外G1初制覇を果たした時を思い出していた。

 関係者、マスコミ、日本人ファン。誰彼構わず抱き合い、握手した。あの感動をフェアリーキングプローン関係者も今、味わっているのだと心が動いた。

 強い競馬だった。好スタートからエイシンルーデンスがハナ。2番手集団にはキングヘイロー。そこから数頭を挟んでトロットスタースティンガーフェアリーキングプローンは11番手を進み、その後ろにディクタットブラックホークイーグルカフェが控えた。

 直線を向き、外に出して進路を確保すると、フェアリーキングプローンの決め手がうなりを上げた。スティンガーをかわす。キングヘイローも振り切った。外からディクタット。だがフェアリーキングプローンが先頭で駆け抜けた。2着はゴドルフィンのディクタット。外国馬のワンツーで馬連は1万4700円ついた。

 口取りは、いつものG1の雰囲気とは全く違った。関係者は肩を抱き合い、こぶしを突き上げ、英語や中国語で、それこそまくし立てて何かを叫んでいた。

 アラン師が彼らの気持ちを代弁した。「とても興奮している。香港競馬にとって素晴らしい勝利だ。実に意義深い」

 オリエンタルエクスプレス(98年安田記念2着)、インディジェナス(99年ジャパンC2着)などの銀メダルはあった同師。ついにつかんだ日本での頂点だった。

 アラン師が日本での勝利にこだわっていたことは香港の競馬サークル内でも有名だった。そこでオーナーのロー氏が「僕の馬で日本に挑戦してみては」と提案したのがフェアリーキングプローン安田記念の2カ月前に転厩が実現し、すぐに快挙の日を迎えた。

 当時、アラン師を美浦トレセンで見かけた日があった。施設見学だけでなく、敵情視察、日本流の管理術を学ぶ目的もあったのではないか。

 現在、日本馬も強くなったが、香港馬も負けじとパワーアップしている。香港での国際競走で香港勢が強さを見せるたびに、四半世紀前、地道にその種をまいていたアラン師の姿が頭に浮かぶ。

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