機は熟した。春のマイル王決定戦「第74回
安田記念」の最終追い切りが29日、東西トレセンで行われた。前哨戦の
マイラーズCを制した
ソウルラッシュは栗東坂路を単走で力強く駆け上がり、馬なりのままラスト1F12秒1の好時計をマーク。充実期を迎えた6歳馬が3年連続の
安田記念挑戦。三度目の正直でG1タイトルを狙う。同レースは30日に出走馬が確定、枠順は31日に発表される。
進化する6歳
ソウルラッシュが究極の状態でG1初制覇に挑む。最終追いは坂路単走。池江師は「先週の時点である程度仕上がっているので強い負荷は必要ない。坂路だと距離も長くないしオーバーワークにならないから」と意図を説明した。
前日の雨で湿ったコンディションでも全くブレのないフォーム。馬場の真ん中を馬なりのまま加速ラップを刻み、ラスト1F(=200メートル)は12秒1でフィニッシュした。師は「動きは良かったですし、上がってきてからの息の入りも非常に良かった。叩き良化型なので上積みはありますね」と太鼓判を押す。
マイラーズCからの臨戦過程は過去2年と同じ。中間にCWコースで2本追い切り、最終追いに坂路を選択する調教パターンも一緒だ。今年は先週までの追い切りで確かな進化を証明。CWコースで2週前にラスト1F10秒7、1週前に10秒9をマークした。過去2年は1F11秒台を切れなかったが、6歳にして切れ味が増している。
進化はレースぶりにも表れている。今年初戦の
マイラーズC(1着)は21年秋から着用していたブリンカーを外した。ラスト200メートルで先頭に立ったが気を抜くことなく、迫ってきたG1馬
セリフォスを逆に突き放して快勝。「ブリンカーは気分転換に取ってみてもいいのかなと思って。その効果はあったと思うが、それより状態が良かったというのもある。今回も外していこうと思う」と明かす。
過去2回の
安田記念は22年13着→23年9着と苦戦続き。池江師も「なぜか東京だけ着順が良くない」と不安を口にするが、今回は頼もしいパートナーがいる。昨秋の
マイルCS2着→
香港マイル4着で手綱を取ったジョアン・モレイラ(40)とのコンビ復活。「“マジックマン”なんで、マジックを見せてくれるのを期待しています。
ショータイムですね」と名手に託した。
6歳での
安田記念Vなら池江師が管理した17年
サトノアラジン以来となる。前走V後に指揮官は「最近は体形が中年オヤジみたいになっていますけど、中年の星ですよ」と表現。充実期を迎えた“イケオジホース”は6度目のG1挑戦となる。「G1を勝たせて種牡馬にしてあげたい」。今度こそ悲願のタイトルをつかみ取る。
《三度目の正直Vは過去3頭》
グレード制導入の84年以降、3回目の挑戦で
安田記念を勝利した馬は3頭いる。97年
タイキブリザード、07年
ダイワメジャーは
ソウルラッシュと同じ3年連続の参戦だった6歳時に見事V。01年
ブラックホークは98年11着に敗れ、翌年は出走しなかったが、00年9着→01年V。この3頭は過去2回の着順が前年より上がっていた。
ソウルラッシュも22年13着→23年9着と着順はアップ。三度目の正直で一気にVを狙う。
スポニチ