東京競馬場で6月2日(日)に行われる春のマイル王者決定戦・
安田記念(3歳上・GI・芝1600m)。昨年の
マイルCSを制した
ナミュールや、GI初戴冠を狙う
ソウルラッシュなどが出走を予定しているが、注目を集めているのは香港馬2頭だろう。中でも実績断然の
ロマンチックウォリアー(
Romantic Warrior、セ6、香・C.シャム厩舎)は、どんな走りを見せるのか、期待に胸を膨らませるファンも多い。
同馬は父
Acclamation、
母Folk Melody、母の
父Street Cryという血統の愛国産馬。短距離路線のレベルが高いとされる香港競馬界において、中距離路線でG1・7勝(うち豪G1・1勝)と圧倒的な成績を残している。クイーンエリザベス2世C(香G1)を史上初めて3連覇したほか、
香港C(香G1)も2連覇中。昨秋の
コックスプレート(豪G1)からG1・4連勝中と、近年来日した外国馬の中でも、実績や勢いは頭ひとつ抜けている。
最大の魅力は“勝負強さ”、“しぶとさ”だろう。近4走の着差は古いほうから「短アタマ」、「短アタマ」、「クビ」、「クビ」といずれも小差。前にいる馬はしっかり捕まえる一方で、後ろから並ばれるとしぶとく食い下がる。脚質もある程度は自由が利きそうで、よほど位置取りが悪くならない限りは脚をしっかり使う。追い比べに持ち込むのが勝ちパターンで、得意の形になれば相当に手ごわそうだ。
気になるのはマイルへの距離短縮だが、昨年1月の香港
スチュワーズC(芝1600m、香G1)では、22年
香港マイル覇者の
カリフォルニアスパングル(
California Spangle)に先着して2着。さすがに勝った
ゴールデンシックスティ(
Golden Sixty)には1馬身差及ばなかったものの、同馬は現在までマイルG1・10勝を誇る歴史的な名馬だ。そんな強敵相手に1馬身差。しかも
カリフォルニアスパングルは、
香港マイルで
ゴールデンシックスティを破った実績もあった。トップホース相手に健闘しており、マイル適性もバッチリである。
左回りも昨秋の
コックスプレートで経験済み。戦績からは弱点という弱点が見当たらない印象。あえて挙げるなら、東京の広いコースと、降雨による馬場の悪化ぐらいだろうか。
パンサラッサや
ジャックドールなど、数多くの日本馬を破ってきた香港の最強戦士。アウェーでもその末脚で戴冠となるだろうか。