宝塚記念はGI初制覇が多いレースとして知られる。超大物が早めの夏休みに入るからか、それとも2200mという個性的な距離のせいか、理由は定かではないが、現実としてそうなっている。そこで今回は
宝塚記念で悲願の
ビッグタイトル獲得となった馬を3頭紹介したい。
最初に
マーベラスサンデーを取り上げる。
サンデーサイレンスの初年度産駒。故障で出世が遅れたが、4歳春から重賞4つを含む6連勝でスターダムに駆け上がってきた。GIでは
サクラローレルや
マヤノトップガンといったラ
イバルの後塵を拝してきたが、5歳時の
宝塚記念でその瞬間は訪れた。後方から脚を伸ばすと、先に抜け出した
バブルガムフェローをクビ差捕らえて、悲願のGIタイトル獲得となった。デビューからラストランまでの全15戦を
武豊騎手が騎乗したという点でも、印象に残っているファンも多いだろう。
2頭目は98年の
サイレンススズカだ。気性面の若さもあって、3歳時は能力をフルに発揮できていない印象があったが、
武豊騎手が主戦に固定され、逃げの戦法が確立すると一気に軌道に乗った。
バレンタインS、
中山記念、
小倉大賞典、
金鯱賞と圧巻の4連勝。そして迎えたのが
宝塚記念だった。
武豊騎手が
エアグルーヴに騎乗するため、南井克巳騎手との初コンビとなったが、単勝2.8倍の1番人気に支持された。2200mという距離もあって、この日はいつもよりもタメ気味の逃げ。それでも直線で後続が迫ってくると二枚腰を発揮し、最後は2着の
ステイゴールドを3/4馬身抑えてゴール。同年の
天皇賞(秋)で故障して予後不良となったため、結果的にこれが唯一のGIタイトルとなった。
そして3頭目は
ダンツフレームだ。「
宝塚記念で悲願のGI初制覇」と聞くと、この馬を思い出すファンが多いのではないだろうか。それもそのはず、このレースまでに
皐月賞、
日本ダービー、そして前走の
安田記念とGIの2着が3回もあったからだ。それでも1番人気に推されたように、千載一遇のチャンスと思われた一戦。先団で脚をためると、直線で馬場の中程から脚を伸ばす。坂では大外の
ツルマルボーイの勢いが上に思えたが、ゴール前で勝負根性を発揮。最後はクビ差凌いで、待ちに待ったタイトル獲得を果たしたのだった。
今回は3頭を取り上げたが、ほかにも
ナカヤマフェスタや
ラブリーデイ、
アーネストリーなど枚挙にいとまがない。今年の
宝塚記念にもGI初制覇を目指す馬が数多くエントリーしている。GI馬が意地を見せるのか、それとも─。そういった視点でも注目したいレースとなる。