門別競馬場が位置する北海道沙流郡日高町の富川地区は、太平洋に面した田舎町である。おおよその日本人がイメージするように、自然豊かな場所で、街灯が少なく、空気が澄んで星も綺麗に見える。門別ナイター開催の名称である「
グランシャリオ(=北斗七星)」も、この星空がモチーフになっていることは想像に難くない。この重賞名にもそれがあしらわれているわけだが、だからといって悠長に空を見上げて星を数えている暇はない。目の前で行われるのは、1分で決着がつく電光石火の決戦である。
予想のポイントは3歳馬の評価だ。過去に3歳馬の参戦はそれほど多くないが、近年では2020年の
アザワク、昨年の
スペシャルエックスが勝利しており、打率は高い。斤量のアドバンテージもあり、ハイレベルな地元2歳重賞で好走していた3歳馬は、古馬一線級相手でも通用すると見るべきだ。今年の
ストリームと
オスカーブレインはともに2歳重賞ウィナーであり、評価は推して知るべしである。
筆者が
オスカーブレインを本命視したのは、この馬のずば抜けたスタートセンスを評価してのものだ。他流試合を含めたこれまでの全9戦すべてでハナを切っているように、トップスピードに乗るまでの速さは世代随一と言ってもいい。意外にも1000mは初めてだが、この馬の強みを生かすにはむしろ最適な条件ではなかろうか。
一方の
ストリームは自在型のス
プリンター。総合力が問われる1200mの方が良さが出る印象はあるが、今季緒戦の
ネクストスター北日本では昨年以上のパフォーマンスで勝利しているように、地力強化は本物だ。追走に苦労しないようなら、十分にチャンスはある。
3歳馬を迎え撃つ古豪、
スティールペガサスの存在も忘れてはならない。一昨年、昨年のス
プリント王者であり、まだまだ能力は健在だ。1000mがベストではないとはいえ、その貫禄を信頼する手もあろう。
サラキャサリンや
イッツクールなど、他の面々も快速自慢ばかり。火花散るスピード勝負の煌めきの前では、星の瞬きも霞んでしまうことだろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)