2025年へVロードを切り開くのは親子の契り、師弟の契りだ。新馬戦で驚異的な成績を挙げる
鹿戸雄一師(62)が2歳世代の先陣を切って
チギリ(牝)を15日の函館5R新馬戦(芝1200メートル、牝馬限定)に出走させる。
スプリンターズS連覇を遂げた父
レッドファルクス譲りのフットワークで前評判も上々。師と仰ぐ
藤沢和雄元調教師直伝のスタンスで初陣に臨む。
切っても切れない親子の縁を「親子の契り」という。父
レッドファルクスを想起させる大きなス
トライドで加速する芦毛の
チギリ。その毛色(父も2歳時は
チャコールグレー)も同じなら、
シャドーロールを着けたりりしい顔つきにも父の面影が重なる。「稽古ではいい動きをしている。跳びが大きい分1200メートルは少し忙しいかもしれないが、スピードがあるし、素直で真面目な気性。距離の融通も利くはず」と鹿戸師は言う。
22年セレクトセール当歳セリで1210万円(税込み)で落札。「体が凄く小さかったから高値は付かなかったが、
バランスがとれて雰囲気のいい馬だった。今は馬体重450キロぐらいありますよ。初戦から動けるだけの体力もついている」と続けた。
「新馬の鹿戸」と呼ばれるほどデビュー戦に強い。現管理馬の新馬成績は47戦16勝2着10回で勝率・340。師匠の
藤沢和雄元調教師は03〜04年に新馬8戦8勝の記録を残したが、愛弟子も驚異的な数字を挙げている。体力がついてくるまでせかさずにデビューを待つ藤沢流を踏襲しているからだろう。ゲート試験に合格してもすぐにデビューさせず、再放牧で成長を促してからトレセンに戻し、入念に調教を重ねて初陣に臨むのが師匠の
スタイル。「
チギリもゲート試験に受かった後、2本時計を出して、再び山元トレセン(宮城県)へ戻してやり直した」(鹿戸師)という。先月初旬に美浦再入厩後は1カ月調教を積んで今月5日に函館へ移動。「一番元気がいい時にレースを迎えられるように…藤沢先生にそう教わってきましたから」
父
レッドファルクスの近親には
スティンガー、
サイレントハピネスなど旧藤沢和厩舎のオープン馬が名を連ねる。「サラブレッドは一にも二にも血統だから優れた血統を次の世代につなげていくのが調教師の本分」とは師匠の名言。「僕も藤沢先生から何度も聞かされた。師匠の教えを守っていきたい」と鹿戸師は言う。血で走るサラブレッド。
チギリを走らせるのが「親子の契り」なら、その血統を次代へ継承するのは「師弟の契り」である。
≪母系も優秀 祖母は
オークス馬の姉≫
チギリは母系の血統も優秀だ。
母ナチュラルスタンスは15年
毎日杯を勝った
ミュゼエイリアンの半姉。祖
母エールスタンスは11年
オークス馬
エリンコートの半姉。父、母系とも3代前に
サンデーサイレンスが入っている。
≪鹿戸厩舎 夏福島&新潟にも有力2歳馬≫鹿戸厩舎は夏の福島、新潟にも有力2歳馬をデビューさせる。
マックスキュー(牡、父
サートゥルナーリア)は7月13日の福島新馬(芝1800メートル)、
エリーナストーム(牝、父
サトノアラジン)は同14日の福島新馬(芝1800メートル、牝馬限定)へ。
エルムラント(牡、父
フィエールマン)は新潟デビュー(日程未定)を目指している。
スポニチ